日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 ポリソルベート60
英文名 Polysorbate 60

CAS 9005-67-8 (link to ChemIDplus)
別名 ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、PEG-6 Sorbitan Stearate, POE (20) sorbitan monostearate, POE(6) Sorbitan Monostearate, Polyoxyethylene (20) sorbitan monostearate, Polyoxyethylene Sorbitan Monostearate, Polysorbate 60, Tween 60

収載公定書  薬添規(JPE2018), USP/NF(27/22) EP(5)
用途 安定(化)剤,可溶(化)剤,基剤,界面活性剤,懸濁(化)剤,乳化剤,分散剤,崩壊補助剤,溶剤,溶解剤,溶解補助剤

JECFAの評価 (link to JECFA)
無毒性量;ラット: 混餌経口投与50,000 ppm (5%) (換算投与量2500 mg/kg BW) 1)
ヒトにおける1日摂取許容量;0〜25 mg/kg bw.* 1)
* ポリオキシエチレン (20) ソルビタン エステル類の総量として. 1)


単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
ラット 経口
静脈内
>38,000 mg/kg
1,220 mg/kg ( 雄 1,750、雌 1,180 )
Brandner, 1973 1)


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
マウス
各群10-12匹のマウスに2.5%、5%及び10%ポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩の3から4ヶ月間投与により、病的所見は認められず忍容性が確認された。しかし、15%投与では摂餌量の低下と成長遅延を伴った幾つかの胃腸管障害がみられた。1) (Brush et al., 1957)

ラット
ラットにポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩の2%及び5%を8週間混餌投与しても毒性症状はみられていない。1) (Krantz, 1943b)

25%ポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩を雄性ラットに15週間混餌投与した試験において、標準餌を投与した対照群と比較して成長の遅延がみられた。ポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩を投与されたラットでは、一過性の下痢がみられたが、血液学的検査は正常で、剖検所見や組織学的検査に異常を認めなかった。1) (Krantz, 1949)

5%及び15%の大豆粕餌を与えている雌雄各群12匹の離乳直後のラットにポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩を14週間投与した。試験期間中、毒性と考えられる臨床症状はみられず、試験終了時の病理組織学的検査においても異常はみられなかった。また、ダイズ豆基準餌中に5%のポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩を混ぜてラットに14週間与えても、健康に害のある結果は観察されなかった。他方では、基準餌の浄化されたカゼイン食事の5%として離乳直後のラット投与した場合、ポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩は、下痢と成長遅延を引き起こした。1) (Chow et al., 1951; Chow et al., 1953)

長期投与試験は、1群15〜30匹のラットを用いて、ポリオキシエチレン(20) ソルビタン モノステアリン酸塩2%混餌投与で実施されている。対照群と比較して、試験餌投与に関連した異常はみられなかった。さらに、発育に関する項目、死亡率及び以下の臓器に関する組織学的検査も実施されている。脳、脾臓、膵臓、胸腺、副甲状腺、前立腺、脳下垂体, 唾液腺、副腎、膀胱、肝臓、腎臓、骨髄、心臓、肺、精巣、リンパ節、筋肉。1) (Wick & Joseph, 1953)

ラットを雌雄各群12匹として4群を設け、各群の動物にポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩の2%、5%、10%及び25%を含む餌を一生涯摂取させた。 2%及び5%の混餌では投与の影響はみられなかった。しかしながら、10%及び25%の混餌では盲腸の拡大と同様に著しい下痢(25%では軽度から中等度、 10%ではそれ以下)が、さらに25%混餌では疑わしい非常に軽度な脂肪性変化が肝臓にみられた。1)(Fitzhugh et al., 1959)

別の試験では、各群雄12匹雌20匹とし、ポリオキシエチレン(20) ソルビタンのモノステアリン酸塩、三ステアリン酸塩並びにモノオレイン酸塩の5%、10%及び20%混餌を一生涯投与された。また、三世代にわたって観察された。この試験には、妊娠と受胎能、 死亡率、血液検査、尿検査及び組織学的検査が含まれていた。5%混餌では異常はみられなかった。10%及び20%混餌では多くの動物、特に雄で下痢がみられた。20%混餌では出生後の生存率、授乳効率及び繁殖活動の持続に異常がみられた。また、雄で発育速度及びカロリー利用効率の軽度な低下がみられた。1) (Oser & Oser, 1957a; Oser & Oser, 1956a, 1956b, 1957b).

皮下投与によって腫瘍を発生させる二つの色素、Brilliant Blue FCFとSolid Green FCFを1%の含量で界面活性剤のポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩(Tween 60) 又は ポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノオレイン酸塩(Tween 80)の5%と一緒にラットに2年間投与した。界面活性剤の存在は、腫瘍の発生率に影響を及ぼさなかった。別の実験では、これらが色素の吸収に影響を及ぼさなかったことが示された。 1) (Truhaut, 1970).

ハムスター
離乳直後のハムスター(各群12匹)にポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩の1%及び5%を含む餌を1年間与えた。最初の6週間では、成長および食餌効率は対照群と同じであった。12ヵ月間では、投与された動物の死亡率と体重は、対照群と著しい差はなかったが、5%混餌では慢性の下痢がみられた。試験終了時の剖検時に、5%混餌では腎臓を除いて投与群と対照群との間で有意な差はなかった。また、慢性下痢によって引き起こされた水平衡の破綻に関係していると考えられるヒアリン円柱(均一なたんぱく質からなる殆ど透明な尿円柱)と慢性間質性腎炎の発現頻度の有意な増加がみられた。1) (Brush et al., 1957)

イヌ
ビーグルの子犬に5%及び10%のポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩を含む餌を1年間与えたが、異常は観察されなかった。1)  (Brush et al., 1957)

ヒナドリ
各群12羽の雛鳥にポリオキシエチレン (20) ソルビタン モノステアリン酸塩又はモノラウリン酸塩を0.1%、1%又は2%含有する餌を7週間与えたが、何ら副作用はみられなかった1) (Ringrose & Waller, 1959)


遺伝毒性
該当文献なし


がん原性 (link to CCRIS)


生殖発生毒性 (link to DART)
Wistar系ラットに妊娠7日から14日までの期間、0、0.1、1及び10% Tween 60を混餌投与し、その催奇形性を検討した。1%混餌群で、母動物における体重増加の有意な抑制、胚の吸収と死亡の有意な増加がみられたが、その他の群ではみられなかった。胎児の生存数、体重及び性比は、各群で差がなかった。いずれの群においても、胎児に奇形は観察されなかった。したがって、ラットの器官形成期に0.1から10%の用量を混餌投与した場合、Tween 60は催奇形性を有しないと判断された。 2) (Ema M, et al., 1988)


局所刺激性
ポリオキシエチレン ソルビタン エステル類(Tween20, 21, 40, 60, 61, 65, 80, 81, 85)は、ウサギの角膜への投与においても、その後の洗眼の有無に関わらず反応はみられなかった。1) (Treon et al., 1967)


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見
ポリオキシエチレン ソルビタン エステル類(Tween20, 21, 40, 60, 61, 65, 80, 81, 85)は、50人の被験者を用いたパッチテストで反応を示さなかった。1) (Treon et al., 1967)


参考文献
内閣府 添加物 database(2007年)  (link to 評価書)

1) WHO Food Additive Series No. 5, Sventeenth Report of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives, Wld Hlth Org. techn. Rep. Ser., 1974, No.539  (link to WHO DB)

2) Ema M, Itami T, Kawasaki H, Kanoh S. Teratology study of tween 60 in rats. Drug Chem Toxicol. 1988;11:249-260.




   


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