日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 没食子酸プロピル
英文名 Propyl Gallate

CAS 121-79-9
別名 PROPYL ESTER OF GALLIC ACID; n-PROPYL ESTER OF 3,4,5- TRIHYDROXYBENZOIC ACID; PROPYL 3,4,5-TRIHYDROXYBENZOATE

収載公定書  薬添規(2003) USP/NF(27/22) EP(4)
用途 安定(化)剤,抗酸化剤


最大使用量
経ロ投与 5mg、一般外用剤 2mg/g、経皮 0.19mg、直腸膣尿道適用 3.6mg/g、殺虫剤

JECFAの評価
ADI(1日許容摂取量)は「0-1.4mg/kg」と評価されている (第46回会議、1993年)。


単回投与毒性
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
マウス 経口 2000-3000mg/kg  Lehman et al., 1951 1)
ラット 経口 3800mg/kg Orten et al., 1948 1)
ラット 経口 3600mg/kg  Lehman et al., 1951 1)
ラット 腹腔内 380mg/kg Orten et al., 1948 1)



反復投与毒性
ラット
雌雄ラットに没食子酸プロピル0.6、1.25又は2.5%含有食を与えた。10%以上の体重増加遅延が1.25及び2.5%混餌群に見られた。胃腸障害による尾の汚染、十二指腸粘膜の紅潮、胃粘膜壁肥厚、胃粘膜下組織及び筋層に肉芽腫性炎症反応が2.5%混餌群に認められた。0.6及び1.25%混餌群の胃及び十二指腸に異常は見られなかった1) (Abdo et al., 1983)。

1群雌雄各6匹のラットに没食子酸プロピル0、0.1、0.5 又は2.5%含有食を与え、4週間反復投与試験を実施した。2.5%混餌群に貧血及び腎髄質外帯の尿細管過形成が認められた。0.5及び2.5%混餌群に薬物代謝酵素活性の上昇が見られた1) (Strik et al., 1986)。

離乳期ラットに豚脂20%と没食子酸プロピル0、0.1、0.2、 0.3、0.4 又は 0.5%含有食を与え、6週間反復投与試験を実施した。体重、肝臓重量、肝臓中の総脂質値、肝臓における多価不飽和脂肪酸の構成比及び肝臓コレステロール値に異常は認められなかった1) (Johnson and Hewgill, 1961)。

離乳期ラットに没食子酸プロピル0.02%を含有する食餌性脂肪を与え、13週間反復投与試験を実施した。軽度体重増加遅延の発生後に制限給餌に切り替えた。没食子酸プロピル群では生存率低下及び体蛋白質減少が顕著であった1) (Bukhan, 1962)。

1群雌雄各10匹のラットに没食子酸プロピル0、0.049、0.191又は0.7455%含有食を与え、13週間反復投与試験を実施した。最高用量群に貧血が見られたが、体重、摂餌量、尿検査、血液化学検査及び病理組織学的検査に異常は認められなかった。無毒性量(NOAEL)は0.191%混餌群の試験結果から135mg/kgと結論された1) (Speijers et al., 1993)。

ラットに没食子酸プロピル1.2又は2.3%含有食を与えた。被験物質の苦味による飼料忌避のため摂餌量が低下した。投与開始後1ヶ月以内に最高用量群の約40%が死亡し、死亡例に腎病変が観察された。10-16ヶ月間投与した生存動物に体重増加の遅延が見られたが、病理学的変化は認められなかった1) (Orten et al., 1948) 。

モルモット
1群20匹のモルモットに没食子酸プロピル含有食を与えた14ヶ月間反復投与試験において、0.02%混餌群に毒性は認められなかった1)(Orten et al., 1948)。

イヌ
1群7匹のイヌに没食子酸プロピル含有食を与えた14ヶ月間反復投与試験において、0.01%混餌群に毒性は認められなかった1) (Orten et al., 1948)。

ブタ
ブタに没食子酸プロピル0.2%含有食を与えたが、貧血などの毒性は認められなかった。1) (van Esch, 1955)



遺伝毒性
in vitroではヒト胚肺細胞WI38の細胞分裂末期像、in vivoではラットの骨髄の細胞分裂中期像による染色体解析において、没食子酸プロピルはいずれも陰性を示した。S. typhimurium TA1530 及びG46株、Saccharomyces D3株を用いた復帰変異試験(含む代謝活性系の存在)及び宿主経由復帰変異試験において、没食子酸プロピルはいずれも陰性を示した。CD(SD)系雄ラットに没食子酸プロピル5-500mg/kgを1回又は5-5000mg/kgを5回投与後に7-8週間にわたり交配させた優性致死試験において、異常は認められなかった1) (Weir and Brusick, 1974)。

4週齡のICR系雄マウスに没食子酸プロピル0、0.001、0.01、0.1又は0.5%含有食を3ヶ月間与え、γ線0.5又は1.25Gyを全身照射した。照射30時間後の骨髄細胞を用いた小核試験において、没食子酸プロピル投与群では小核出現頻度が1.6-2倍高かったが、用量反応性は認められなかった1) (Kamra and Bhaskar, 1978)。

没食子酸プロピルは代謝活性系の存在しない条件下でN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(MNNG)又はN-acetoxy-AAF により誘発されるS. typhimuriumに対する変異原性を抑制したが、4-ニトロキノリン-1-オキシド(4NQO)、N-hydroxy-AAF又はアフラトキシンB1により誘発されるS. typhimuriumに対する変異原性を増強した。没食子酸プロピルは代謝活性系存在下でアフラトキシンB1により誘発される変異原性を抑制した1) (Rosin and Stich, 1980)。

没食子酸プロピルは代謝活性の存在の有無にかかわらず、S. typhimurium TA98又はTA100株を用いた系で変異原性を示さなかったが、アフラトキシンB1により誘発されるS. typhimurium TA100株に対する変異原性を軽度増強した1) (Shelef and Chin, 1980)。

没食子酸プロピルはベンゾ(a)ピレンにより誘発されるS. typhimurium TA98株に対する変異原性を抑制したが、アフラトキシンB1により誘発されるS. typhimurium TA98及びTA100株に対する変異原性を増強した1) (Calle and Sullivan, 1982)。


癌原性
マウス
マウスに没食子酸プロピル5%含有食を2年間与えた。前胃に過形成が認められたが、危険率1%の検定では対照群との間に有意差は認められなかった1) (Lehman et al., 1951)。
v 1群雌雄各50匹のマウスに没食子酸n-プロピル 0、0.25又は1%含有食を与え、21ヶ月間の癌原性試験を実施した。雄の被験物質投与群では対照群より生存率が高かった。摂餌量、体重、血液検査及び病理組織検査に被験物質投与に起因する異常は認められなかった1) (Dacre, 1974)。

1群雌雄各50匹のB6C3F1マウスに没食子酸プロピル0、0.6 又は1.2%含有食を与え、103週間の癌原性試験を実施した。雌雄の被験物質投与群に体重増加抑制が認められたが、生存率及び摂餌量に異常は見られなかった。悪性リンパ腫の発現率が雄の高用量群に有意に高かったが、試験実施施設の背景データとの間に有意差が認められず、没食子酸プロピルの癌原性は陰性と結論された1) (Abdo et al., 1983),  3) (Abdo et al., 1986)。

ラット
1群雌雄各10匹のラットに没食子酸プロピル0、0.001、 0.01、0.12、1.2 又は2.3%含有食を2年間与えた。1.2及び2.3%混餌群に体重増加抑制及び腎障害が認められたが、0.12%以下の混餌群では血液検査及び病理組織検査に異常は見られなかった1)(Orten et al., 1948)。

ラットに没食子酸プロピル5%含有食を2年間与えた。前胃に過形成が認められたが、危険率1%の検定では対照群との間に有意差は認められなかった1) (Lehman et al., 1951)。

1群雌雄各50匹のF344系ラットに没食子酸プロピル0、0.6又は1.2%含有食を与え、103週間の癌原性試験を実施した。雄の被験物質投与群に肝細胞空胞化の発現率上昇が認められた。雌雄の被験物質投与群に体重増加抑制が見られたが、生存率及び摂餌量に対照群との間に差はなかった。雄の低用量群に包皮腺腫、膵島細胞腫及び褐色細胞腫の有意な発生率上昇が認められたが、被験物質投与と関連のない変化と判断され、没食子酸プロピルの癌原性は陰性と結論された1) (Abdo et al., 1983), 3) (Abdo et al., 1986)。


生殖発生毒性
ラット
没食子酸プロピル0.035、0.2又は0.5%含有食を2世代にわたりラットに与えた。繁殖成績、生殖能及び病理解剖所見に異常は認められなかった1) (van Esch, 1955).。

ウサギ
妊娠12日のニュージーランドホワイト種ウサギに没食子酸プロピル362-900mg/kg及びヒドロキシ尿素600-750mg/kgを皮下に併用注射した。ヒドロキシ尿素により誘発される胎児吸収及び特異的な奇形の発生率と没食子酸プロピル投与量との間に逆相関が認められ、それらの発生率は線形パターンを示して低下した1)) (de Sesso, 1981)。


局所刺激性
該当文献なし



その他の毒性
没食子酸プロピル代謝物である没食子酸はC57B1/6マウス脾臓中のプラーク形成アッセイによるヒツジ赤血球に対する抗体産生試験において、抑制作用を示した。更に没食子酸はマイトジェン刺激によるTリンパ球DNA合成を阻害したが、Bリンパ球の機能に影響を及ぼさなかった1) (Archer et al., 1977)。

没食子酸プロピルはマウスの脾臓中プラーク形成細胞アッセイによるヒツジ赤血球に対する抗体産生試験において、抑制作用を示した。更に没食子酸プロピルはヒトWISH細胞株及びマウスのL細胞株に対して細胞増殖抑制作用を示した1) (Blalock et al., 1981)。

F344系雄ラットに没食子酸プロピル0.52又は2%含有食を9日間与えた。前胃の扁平上皮細胞に病理組織学的変化は認められず、同部のH3チミジン標識細胞指数にも変化は見られなかった1) (Nera et al., 1984)。.

没食子酸プロピル(0.5-2.0mM)を添加したラット肝細胞培養において、ATPの急激な低下を伴う細胞死が認められた。ラット肝細胞から分離したミトコンドリアを用いた酸素消費量及び消費速度の測定結果から、没食子酸プロピルはミトコンドリア機能低下による肝毒性を誘発させることが示唆された2) (Nakagawa et al., 1995)。


ヒトにおける知見
没食子酸塩を扱うパン職人などに接触性皮膚炎が報告されている。没食子酸ドデシル0.2%によるパッチテストで1名の感作患者が弱陽性を示した。再発性接触性皮膚炎患者も存在し、食品中の没食子酸が関与していると考えられている1) (Brun, 1970)。


引用文献
1) WHO Food Additive No.32 Propyl Gallate. 1993 (accessed ; Oct. 2004)

2) Nakagawa Y, Tayama S. Cytotoxicity of propyl gallate and related compounds in rat hepatocytes. Arch Toxicol. 1995;69(3):204-8.

3) Abdo KM, Huff JE, Haseman JK, Alden CJ. No evidence of carcinogenicity of D-mannitol and propyl gallate in F344 rats or B6C3F1 mice. Food Chem Toxicol. 1986 Oct-Nov; 24(10-11): 1091-7.




   


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