日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド
英文名 Coconut Fatty Acid Diethanolamide

CAS 61791-31-9 (link to ChemIDplus), 68603-42-9 (link to ChemIDplus), 8036-48-4 (link to ChemIDplus) *
別名 Cocamide DEA; Coconut oil acid diethanolamine (Amides; coco; N,N-bis(hydroxyethyl), Coconut diethanolamide; Coconut diethanolamine; Coconut oil acid diethanolamine condensate; Diethanolamides of the fatty acids of coconut oil; Ethylan LD; N,N-Bis(2-hydroxyethyl)cocoamide; N,N-Bis(2-hydroxyethyl)coconut fatty acid amide; N,N-Bis(2-hydroxyethyl)coconut oil amide; NCl-C55312; Ninol 2012E)*
* National Instiute of Occupational Safety and Healthによる


収載公定書  薬添規(JPE2018), 外原規(2006) 
用途 基剤,乳化剤

JECFAの評価
JECFA非収載品


単回投与毒性68603-42-9 (link to ChemIDplus), 8036-48-4 (link to ChemIDplus)
該当文献なし


反復投与毒性 61791-31-9 (link to TOXLINE), 68603-42-9 (link to TOXLINE)
10匹の雌雄B6C3F1マウスへヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを週に5回14週間に渡り0,50,100,200,400,800mg/kg(エタノールに溶解)を皮膚に塗布した。
死亡例はみられず。体重曲線は対照群とかわりがなかった。 所見では雌雄ともに800mg/kgの適用では皮膚刺激性が観察された。 雌雄800mg/kg適用で肝臓と腎臓の重量、雌400mg/kg適用で肝臓の重量、雌800mg/kg適用で肺重量がそれぞれ対照群と比べて有意に増加した。雄800mg/kg適用で精巣上体の精子の濃度が有意に増加した。適用部位における皮膚の病理組織学的損傷(表皮過形成、皮脂腺の過形成、慢性炎症、錯角化症、潰瘍)がみられる。皮膚損傷の発生頻度とその症状は一般に雌雄ともに用量の増加とともに増加した。

雌マウスの腎障害の重篤度も増加する。

ラット
F344/Nの雌雄ラット10匹に0,25,50,100,200,400mg/kg(エタノールに溶解)を週に5回14週間にわたり皮膚に塗った。 死亡例はみられず。200及び400mg/kg投与群では溶媒投与群に比べて雌雄ともに体重の有意な減少が認められた。 所見では雌雄ともに100,200,400mg/kgの適応で皮膚に刺激性が観察された。 雄では200及び400mg/kgの用量で、雌では100mg/kg以上の用量でコレステロールの減少がみられた。 雄の200及び400mg/kgの適用でトリグリセライドの減少がみられた。 皮膚適用部位に組織病理学的損傷(表皮過形成、皮脂腺の過形成、慢性炎症、錯角化症、潰瘍)がみられる。 皮膚損傷の発生頻度とその症状は一般に雌雄ともに用量の増加とともに増加する。 雌へ100,200,400mg/kg適用すると腎尿細管の再生率が対照群に比べて有意に増加し特に200及び400mg/kg適用では極めて顕著に増加した。

2年間ヤシ油酸ジエタノールアミドをラットに塗布すると雌雄ラットでは表皮過形成、皮脂腺の過形成、錯角化症、角化症が、メスラットでは適用部位に潰瘍が発生した。 慢性炎症、表皮過形成、メスラットの胃庭部の表層潰瘍が増加した。 2年間ヤシ油酸ジエタノールアミドをラットに塗布すると♂では肝臓で好酸球が増加した。


遺伝毒性 68603-42-9 (link to CCRIS)
Salmonella typhimuriumに対する反応
Salmonella typhimuriumに対する変異は陰性であった。

L51178Yマウスリンパ腫細胞に対する反応
L5178Yマウスリンパ腫細胞コロニーの増加反応は陰性であった。

末梢赤血球に対する反応
14週間雌雄マウスの末梢血微少核テストでは陽性反応が得られた。


がん原性 68603-42-9 (link to CCRIS)
マウス
50匹ずつの雌雄B6C3F1マウスへCを週に5回104-105週間の2年間に渡り0,100、200mg/kg(エタノールに溶解) を皮膚に塗布した。 動物の生死、体重及び所見 雌雄ともに生存率は対照群とほとんど変わりがなかった。 体重曲線は雌100mg/kg適用群で63週目以降、雌200mg/kg適用群で77週目以降で対照群に比べて体重の減少が観察された。 雄200mg/kg適用群で適用部位に皮膚刺激性が観察された。 病理所見 肝臓の腫瘍(肝細胞腺腫、肝細胞癌、肝芽細胞腫の発生頻度は雌雄マウスともに有意に増加した。発生の大半は従来からの対照群をしのいでいた。 ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを適用した雄マウスの好酸球は対照に比べて増加した。 腎尿細管腺腫及び腎尿細管腫瘍(腺腫と癌腫)の発生頻度は雄200mg/kg適用群で有意に増加した。 適用部位の非癌原性の皮膚障害はある程度用量依存的に観察された。 表皮過形成、皮脂腺の過形成、錯角化症の発生頻度は雌雄ともに対照群に比べ、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド適用群で好発した。 雄200mg/kg適用による潰瘍の発生頻度と雌200mg/kg適用による錯角化症の発生頻度は対照群に比べて高かった。 ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを適用した雌雄すべての群で甲状腺濾胞細胞の過形成の発生頻度が対照群に比べて有意に増加した。

雄B6C3F1マウスでは肝臓及び腎臓の細管の腫瘍の増加や雌マウスでは肝腫瘍の発生頻度の増加といった癌原性のあることは明らかであった。 これらの結果はヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドに汚染された遊離のdiethanolamineの濃度と相関性があった。 

ラット
50匹ずつの雌雄F344/Nラットへヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを週に5回104週間に渡り0,50,100mg/kg(エタノールに溶解) を皮膚に塗布した。 動物の生死、体重及び所見 雌雄ともに生存率は対照群とほとんど変わりがなかった。 また、体重曲線も違いが見られなかった。 雌100mg/kg適用により皮膚刺激性が観察された。 病理所見 雌50mg/kg適用により腎尿細管の腺腫と癌腫発生のわずかな増加が見られた。 また雌ラットでは用量の増加に伴って腎障害の重篤度が増加した。 適用部位の非腫瘍性の皮膚障害(表皮過形成、皮脂腺の過形成、錯角化症、角化症)と損傷の発生頻度及び重篤度は用量の増加ともに増加した。 慢性炎症、胃前庭部の上皮過形成及び上皮潰瘍の頻度は雌ラットで用量依存的に増加し、100mg/kg適用群で有意であった。

2年間の塗布試験でF344/Nの雄ラットへヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド50及び100mg/kgを投与しても発癌性はみられなかった。 腎尿細管腫瘍の発生頻度の限定的な増加に基づくF344/Nの雌ラットにおける発癌性も不明瞭なものであった。


以下については該当文献なし
生殖発生毒性
局所刺激性
その他の毒性


ヒトにおける知見  68603-42-9 (link to HSDB
)


引用文献
1) NTP working group. Toxicology and carcinogenesis studies of coconut oil acid diethanolamine condensate in F344/N rats and B6C3F1 mice (dermal studies). National Toxicology Program Technical Report Series vol.479 226p (2001)
2) Kurtz P. Chronic studies of coconut oil fatty acids. Crisp Data Base National Institutes of Health (CRISP). (1996)
3) Pathology working group. Chronic dermal toxicity/carcinogenicity study of coconut oil acid diethanolamine condensate with cover letter dated 10/24/1997. EPA/OTS;Doc #FYI-OTS-1097-1311 (1997)






   



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