日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 第三リン酸カルシウム
英文名 Tribasic Calcium Phosphate

CAS 12167-74-7 (link to ChemIDplus), 7758-87-4 (link to ChemIDplus)
別名 リン酸三カルシウム、Calcium phosphate
収載公定書  薬添規(JPE2018) USP/NF(28/23)
用途 コーティング剤,賦形剤,流動化剤


単回投与毒性
該当文献なし


反復投与毒性:12167-74-7 (link to TOXLINE), 7758-87-4 (link to TOXLINE)


遺伝毒性:7758-87-4 (link to CCRIS)
Salmonella tryphimurium TA98, TA100, TA1535, TA1537及びE. coli WP2uvrA を用いたAmes試験で、β-リン酸三カルシウムと6-O-carboxymethyl-chitinから成る多孔性スポンジ抽出液をそのままあるいはS9画分で代謝活性化したものは、5mg/mLで変異原性をしめさなかった。また、CHL/IU細胞において、5mg/mLで染色体異常は認められなかった。さらに、BALB/c 3T3細胞、V79細胞およびmutant TG1細胞において、4mg/mLで癌プロモーション活性は認められなかった。1) (Marumatsu et al., 2004)


がん原性
該当文献なし


生殖発生毒性
リン酸一カルシウム、リン酸三カルシウム及びリン酸一カリウムには鶏胚に対して催奇形性はない。リン酸一ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム及び六メタリン酸ナトリウムは器官形成期の鶏胚に注射した際には、殆どは構造的なものであるが種々の異常が見られ、催奇形性のあることが見出されている。7) (Verrett et al., 1980)


局所刺激性
リン酸カルシウムを主剤とする試作根管充填用シーラーのラットの組織刺激性試験において、充填後1週の根尖部歯髄切断面に炎症反応は観察されず、根尖孔外の歯周組織にも著しい変化はなかった。4週後も著変は観察されず、5週を経過すると根尖孔が封鎖され、周囲組織は正常であった。2) (上田ら, 1995)

リン酸カルシウム系根管充填剤のラット皮下結合組織刺激性試験で、内径1mm、長さ10mmのシリコンチューブ内に材料を注入したものを背部皮下埋没術後3日で軽度ないし中等度の炎症性細胞浸潤が認められ、術後7日で表層組織に壊死層が形成されて、その周囲を繊維芽細胞が取り囲んでいた。術後28日で壊死層は認めず、炎症性細胞は消失、繊維芽細胞が取り囲んでいた。3) (菅谷ら, 1991)


その他の毒性
抗原性
モルモットをA社製およびB社製リン酸三カルシウム(800mg/kg)浮遊液で1次免疫を行い数日すると注射部位は炎症により大きく腫脹し、特にFreund完全アジュバント使用群では腫脹は著明になった。注射後13または14日目になると、アジュバント使用群では炎症がひき続いて認められ、同部は硬結や発赤が認められ腫脹は高度であった。アジュバントを使用しない群では炎症はかなり消退していた。皮内反応惹起注射後(0.4mg/0.2ml リン酸緩衝生理食塩液)、数分で刺入部よりの出血や発赤が現れ数時間で消失した。免疫群ではアジュバントの有無に関わらず、発赤は4mm以下で硬結も認められなかった。非免疫群でもすべて反応陰性であった。C社製リン酸三カルシウム浮遊液では、アジュバント使用免疫群で皮内反応陽性(発赤と硬結)になった。組織学敵には、真皮に主に単核球よりなる軽度または中等度の細胞浸潤が認められた。4) (笹岡, 1992)

細胞毒性
マウス結合組織由来L細胞を子ウシ血清10%添加イーグルMEM培地で静置培養し、β-リン酸三カルシウム焼結体薄片(10mm x 4mm x 0.2 mm)を加え48時間培養後、中性フォルマリン固定、ヘマトキシリン単染色、直接透過光によって細胞の形態変化を観察した。形態は全く正常であった。5) (赤尾ら, 1987)

ラット膀胱上皮C8細胞において、リン酸カルシウムは25 mMで細胞毒性を示した。6) (Cohen et al., 2000)


ヒトにおける知見:7758-87-4 (link to HSDB)


引用文献
1) Marumatsu K et al. J Biomed Mater Res Pt A 71A(4): 635-643, 2004.
2) 上田善弘ら 日本歯科保存学雑誌 38(2): 592-611, 1995.
3) 菅谷一彦ら 日本歯科保存学雑誌 34(6): 1585-1594, 1991.
4) 笹岡邦典 日本口腔外科学会雑誌 38(10): 1508-1523, 1992.
5) 赤尾勝ら 石膏と石灰 209: 225-228, 1987.
6) Cohen SM et al. Carcinogenesis 21(4): 783-792, 2000.

   

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