日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 親油型モノオレイン酸グリセリン
英文名 Glyceryl Monooleate, Lipophilic

CAS 25496-72-4 (link to ChemIDplus)
別名 親油性モノオレイン酸グリセロール(103857
収載公定書 外原規(2006)  
用途 乳化剤,溶解補助剤

GRAS(184.1323) (Glyceryl monooleate) 


文献では親油性モノオレイン酸グリセリンが明確でないため、CAS No. 111-03-5で表示された成績を以下、記載する


単回投与毒性

動物種

投与経路

LD50(mg/kg体重)

文献

ラット

経口

>13 mL/kg
%
含有日焼け止め製剤

ACTFA, 1981 1)




反復投与毒性 (link to TOXLINE)



遺伝毒性
該当文献なし


がん原性
マウスを用いてオレイン酸グリセリンの脳腫瘍誘発能について調べた。オレイン酸グリセリンを50-100 mg/day群、コレステロール(4-5 mg/day)群、コレステロール群と併用群、コーンオイル群、無処置対照群を設けた。被験物質は飼料に混入して、4週齡のマウスに与え、その後、同じ群を交配して出生児が得られるまで調べた。その結果、オレイン酸グリセリン群に特有の腫瘍は認められなかった。脳腫瘍の認められた例はオレイン酸グリセリン群は63例中3例、併用群は64例中7例、コレステロール群は80例中20例、コーンオイル群は11例中1例、無処置対照群は188例中0例であった。Szepsenwol, 1969 1)

上記と同様な試験をT.M.マウスを用いて実施した。オレイン酸グリセリン200 mg/day群(G5)、オレイン酸とリノレイン酸群(G4)、コーンオイルと1.5%遊離脂肪酸、コーンオイル群(G3)、精製コーンオイル群(G2)、無処置対照群(G1)とした。混餌飼料は4-7世代に渡り与えた。その結果、無処置対照群195例中3例に胃粘膜に乳頭腫および扁平上皮癌、幽門部および小腸の腫瘍がみられた。胃粘膜の乳頭腫はG5166例中31例、G4328例中87例、G3196例中49例、G2209例中6例であった。扁平上皮癌はG5166例中6例、G4328例中10例、G3196例中6例、G2209例中1例であった。幽門部の腫瘍はG5166例中31例、G4328例中41例、G3196例中9例、G2209例中2例であった。この結果から遊離脂肪酸の混餌により胃粘膜の腫瘍が誘発されたものと考えられた。オレイン酸グリセリンには純度については明らかでなかった。Szepsenwol, 1978 1)


生殖発生毒性
該当文献なし


局所刺激性
オレイン酸グリセリン原液の損傷皮膚一次刺激性(single insult patch test:SIPT)をウサギ9羽で調べた。その結果、閉塞パッチによる皮膚一次刺激性インデックスは0.72minimal skin irritationとみなされた。CTFA, 1978 1)

オレイン酸グリセリン原液の損傷皮膚一次刺激性(single insult patch test:SIPT)をウサギ9羽で調べた。その結果、閉塞パッチによる皮膚一次刺激性インデックスは0.67minimal skin irritationとみなされた。CTFA, 1978 1)

オレイン酸グリセリン原液の損傷皮膚一次刺激性(single insult patch test:SIPT)をウサギ9羽で調べた。その結果、閉塞パッチによる皮膚一次刺激性インデックスは0.67minimal skin irritationとみなされた。CTFA, 1979 1)

50%
オレイン酸グリセリン液(コーンオイルに溶解)の損傷皮膚一次刺激性(single insult patch test:SIPT)をウサギ9羽で調べた。その結果、閉塞パッチによる皮膚一次刺激性インデックスは1.00minimal skin irritationとみなされた。CTFA, 1976 1)

50%
オレイン酸グリセリン液(コーンオイルに溶解)の損傷皮膚一次刺激性(single insult patch test:SIPT)をウサギ9羽で調べた。その結果、閉塞パッチによる皮膚一次刺激性インデックスは0.33practically nonexistent skin irritationとみなされた。CTFA, 1977 1)

5%
オレイン酸グリセリン製剤(日焼け止め)の反復投与損傷皮膚刺激性をウサギ3羽で調べた。その結果、1日1回4日間の閉塞パッチによる皮膚刺激性インデックスは3.0mild dermal irritationとみなされた。CTFA, 1981 1)

オレイン酸グリセリン原液の眼粘膜刺激性についてDraize法に従って0.1 mLをウサギ6羽に点眼して調べた。その結果、眼粘膜刺激性平均評点は点眼当日1でminimal eye irritationとみなされた。CTFA, 1977 1)

オレイン酸グリセリン原液の眼粘膜刺激性についてDraize法に従って0.1 mLをウサギ6羽に点眼して調べた。その結果、眼粘膜刺激性平均評点は点眼当日1でminimal eye irritationとみなされた。CTFA, 1978 1)

オレイン酸グリセリンをコーンオイルに50%濃度に溶解した液の眼粘膜刺激性についてDraize法に従って0.1 mLをウサギ6羽に点眼して調べた。その結果、眼粘膜刺激性平均評点は点眼当日1でminimal eye irritationとみなされた。CTFA, 1976 1)

19.0%
オレイン酸グリセリン製剤(香水)の眼粘膜刺激性についてDraize法に従って0.1 mLをウサギ6羽に点眼して調べた。その結果、眼粘膜刺激性平均評点は点眼当日122日目84日目67日目2moderate eye irritationとみなされた。CTFA, 1984 1)

5%
オレイン酸グリセリン製剤(日焼け止め)の眼粘膜刺激性についてDraize法に従って0.1 mLをウサギ6羽に点眼して調べた。その結果、眼粘膜刺激性平均評点は点眼1時間目に軽度な結膜炎がみられたが、24時間以内には消失した。CTFA, 1981 1)


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
オレイン酸グリセリンを1.5%含有するハンドクリームを15%30%に水性希釈して、Draize-Shelanski法に従い被検者20名における損傷皮膚一次刺激性を調べた。その結果、15%濃度では、18名が陰性で、残り2名の評点は0.5および1であった。30%濃度では、17名が陰性で、3名の評点は1であった。CTFA, 1977 1)

オレイン酸グリセリンを19.0%含有する香水について、Draize-Shelanski法に従い被検者20名における損傷皮膚一次刺激性を調べた。その結果、20名中17名は陰性、残り3名の反応は偽陽性であった。このことから、製品の刺激性はpractically nonexistentとみなされた。CTFA, 1983 1)

オレイン酸グリセリンを5%含有する日焼け止め製剤について、被検者10名における累積皮膚刺激性をLanman-Mailbach法に従って調べた。背部皮膚に23時間閉塞パッチ(50 μL/cm2)を21回連日実施した。貼付部位の評点は、パッチ除去後清浄し、貼付24時間目に実施した。その結果、評点は2製剤それぞれ、(最高評点630中)2338であった。このことから、刺激性はmildな刺激物とみなされたが、刺激性の変化は12回までは殆ど認められなかった。また、1名で23点中22点、38点中26点を示したものであった。Hill Top Res., 1981 1)

オレイン酸グリセリンを15%水性液について、被検者200名における損傷皮膚反復パッチ試験を実施した。なお、この濃度では一次刺激性と感作性が報告されている。24時間の閉塞パッチを上腕に月曜日、水曜日、金曜日に16回実施した。閉塞パッチの処置のない日は無処置とした。その結果、皮膚刺激性は認められなかった。FDRL, 1973 1)

オレイン酸グリセリンを5%含有する日焼け止め製剤について、被検者52名における損傷皮膚反復パッチ試験を実施した。これら24時間感作パッチは火曜日、木曜日、土曜日に実施した。その後、12-16日間の無処置の後、近接部位に誘発パッチを行った。誘発パッチを除去直後と24時間目に局所を観察した。15名はいずれの時期も陽性反応は認められなかった。37名は光毒性、光アレルギー性の既往症ある方であった。また、2名は感作時に軽度な発赤(slight erythema)がみられた。しかし、誘発反応後はいずれの例も陽性反応は認められなかった。FDRL, 1981 1)

オレイン酸グリセリンを5%含有する日焼け止め製剤の損傷皮膚反復パッチ試験で被検者おける光毒性、光感作性について調べた。約200 mgの製剤を前腕内側に閉塞パッチして29名は光感作性を、10名は光毒性について検査した。24時間パッチ後、直ちに評価し、UVAを照射(4400 ?W/cm215分間)した。光毒性の場合は照射直後、24時間、46時間目に評価した。光感作性の場合には、24時間パッチと光照射は、月曜日、水曜日、金曜日に実施し、合計10回行った。評価は誘発パッチ後48時間、72時間目に実施した。その結果、光毒性を調べた10名では皮膚反応は認められなかった。光感作性を調べた29名中1名で、UV光照射を行っていない6回目の感作部位でグレード1の反応がみられた。また、光照射を行った部位、感作部位では陽性反応は認められなかった。FDRL, 1981 1)


引用文献
1) Okamoto MY. Final report on the safety assessment of glyceryl oleate. J. Am. Col
. Toxicol. 1986; 5: 391-413

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