日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 ジブチルヒドロキシトルエン
英文名 Dibutylhydroxytoluene

CAS 128-37-0  (link to TOXNET DB)
別名 
収載公定書  薬添規(2003),食添(7),USP/NF(27/22),EP(4)
用途 安定(化)剤,滑沢剤,抗酸化剤,粘着剤,防腐剤,保存剤,溶解補助剤


最大使用量
経口投与4mg, 一般外用剤 296mg/g,歯科外用及び口中用剤12μg,その他の外用3.6mg/g,経皮4mg,舌下適用10mg/g,直腸膣尿道適用4mg,筋肉内注射26μg,眼科用剤0.05mg/mL,静脈内注射0.09mg

JECFAの評価量 (link to JECFA)
ADIは「0-0.3mg/kg 体重/日」と評価されている。 (第44回会議、1995年)


単回投与毒性  (link to TOXNET DB)
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
ラット 経口 >1700-1970mg/kg Deichmann et al., , 1955
ラット 経口 2450mg/kg Karplyuk, , 1959
マウス 経口 2000mg/kg Karplyuk, , 1959
マウスDBA/2N系 (近交系) 腹腔内 138mg/kg Kawano et al., , 1981
マウスBALB/cNnN (近交系) 腹腔内 1739mg/kg Kawano et al., , 1981
マウスC57BL/6N (近交系) 腹腔内 917mg/kg Kawano et al., , 1981
マウスICR-JCL (非近交系) 腹腔内 1243mg/kg Kawano et al., , 1981



反復投与毒性 (link to TOXLINE)
マウス 
マウスを用いた7週間反復投与毒性試験
MTDを調べる目的で1群雌雄各5匹のB6C3F1系マウス(6週齢)に体重1kg当り0、3100、6200、12500、25000 又は50000mg BHTを混餌法で与え、7週間反復投与毒性試験を実施した。死亡例は50000mg/kg群(雄1例、雌4例)、25000mg/kg群(雌1例)に認められた。体重の増加抑制が用量に相関して認められた。病理組織検査では雄25000mg/kg群の肝臓に小葉中心性の軽度空胞化が認められた(NCI, 1979)1)

マウスを用いた10週間反復投与毒性試験
癌原性試験の用量設定のため、1群雌雄各10匹のB6C3F1 系マウスに0、0.25、0.5、1、 2 又は4% BHT含有食を与え、10週間反復投与毒性試験を実施した。被験物質群には雌雄各10匹、対照群には雌雄各20匹を宛てた。4%群に体重増加抑制、脾臓、心臓、腎臓に飢餓萎縮が認められた。MTDは2%含有食の条件下と判断された(Inai et al., 1988)1)

マウスを用いた12ヶ月間反復投与毒性試験
1群18匹の8週齡BALB/c系雄マウスに0.75% BHT含有食を与え、12ヶ月間反復投与毒性試験を実施した。亜急性胆管炎を伴う肝内胆管の著しい過形成が認められた(Clapp et al.,1973)1)

マウスを用いた10ヶ月間及び1年間反復投与毒性試験
1群雌雄各17-39匹の6-10週齡C3H系マウスに0.05又は0.5% BHT含有の半合成飼料を与え、10ヶ月間反復投与毒性試験を実施した。対照群には半合成飼料及び市販飼料を与えた。雄の被験物質投与群に肝細胞腺腫の発現率の上昇が認められ、その頻度は0.5% 群38% (10/26)、0.05%群58% (15/26)、半合成飼料群5% (2/37)、市販飼料群18% (7/38) であった。追加試験としてC3H系マウスに0又は0.5% BHT含有食を10ヶ月間間与えた後、1ヶ月間休薬した。雄マウスの肝細胞腺腫の発現率は対照群9% (3/35)、0.5%群17% (5/29)であった。BALB/c系マウスに0、0.5又は5%含有食を与え、1年間反復投与毒性試験を実施した。肝腫瘍の発現率は対照群13% (4/30)、0.5%群14% (6/43)、5%群7% (2/28)であった。C3H系マウスを用いた12ヶ月間反復投与毒性試験の対照群背景データにおける自然発生肝腫瘍発現率は雄41-68%、雌6-13%であった (Peraino et al., 1973)。この資料から、C3H系マウスを用いたBHT反復投与毒性試験における肝細胞腺腫の発現率上昇はBHTの癌原性を示唆するものでないと判断された(Lindenschmidt et al.,1986)1)

マウスを用いた16ヶ月間反復投与毒性試験
11匹のBALB/c系マウスに0又は0.75% BHT含有食を与え、16ヶ月間反復投与毒性試験を実施した。肺腫瘍の発現率は対照群24%、0.75%群63.6%であった(Clapp et al., 1974)。しかし、1群の動物数を増加させた追試験では、BHTは雌雄マウスの肺腫瘍発現率に影響を及ぼさなかった(Clapp et al., 1975) 1)

ラット
ラットを用いた25日間反復投与毒性試験
1群5又は10匹のラットに0.8又は1% BHT含有食を与え、paired feedingによる25日間反復投与毒性試験を実施した。1%群に体重増加抑制が認められた(Deichmann, 1955) 1)

ラットを用いた6週間反復投与毒性試験
20%ラード含有食に0、0.1、0.2、0.3、0.4 又は0.5% BHTを添加し、1群雌雄各3匹の離乳期ラットに6週間与えた。体重増加抑制、肝臓重量の増加が被験物質投与群に認められた。BHTの投与量と相関して血清コレステロール値、副腎コレステロール値の増加が観察された(Johnson & Hewgill, 1961) 1)

ラットを用いた6週間反復投与毒性験試
0又は20%ラード含有食に0.5% BHTを添加し、ラットに6週間与えた。ラード含有の有無に関わらず基礎代謝上昇、肝臓コレステロール値上昇及び生体内の全脂肪酸含量減少が認められた。(Johnson & Holdsworth, 1968)1)

ラットを用いた7週間反復投与毒性試験及び次世代試験
0又は20%ラード含有食に0.1% BHTを添加し、1群12匹の雌雄ラットに7週間与えた結果、20%ラード群の雄に体重増加抑制が認められた。paired feeding試験の結果から、増加抑制はBHTに起因する変化と結論された。BHTの毒性はラード含有量増加に伴い強まり、次世代児の10%に無眼球症が認められた(Brown et al., 1959) 1)

ラットを用いた7週間反復投与毒性試験
MTDを決定する目的で雌雄各5匹のF344ラットに0、0.62、1.25、2.5 又は5% BHT含有食を与え、7週間反復投与毒性試験を実施した。被験物質投与に起因する死亡は5%群(雌雄各5例)に認められた。体重増加抑制が投与量と相関して認められ、投与終了時の体重は2.5%群では対照群の38-44%であった。1.2%群に軽度の造血機能亢進が認められた(NCI, 1979)1)

ラットを用いた8週間反復投与毒性試験
19.9%カゼインを含有食に0、0.02 又は0.2% BHTを添加し、幼若ラット(1群8匹)に8週間投与した。BHTは体重を増加させ、蛋白効率を改善させた (Sporn & Schobesch, 1961) 1)

ラットを用いた68−82日間反復投与毒性試験
ラットにBHT 250mg/kgを投与し、68−82日間反復投与毒性試験を実施した結果、肝細胞に脂肪浸潤及び体重増加抑制が認められた (Karplyuk, 1959)1)

ラットを用いた10週間反復投与毒性試験
1群雌雄各20匹のラットに1% BHT含有食を与え、10週間反復投与毒性試験を実施した。相対肝重量の増加と肝細胞の変化が認められたが、数週間の休薬でこれらの変化は消失した(Goater et al., 1964)1)

ラットを用いた10週間反復投与毒性試験
10%脂肪含有食に0.03、0.1又は0.3% BHTを添加し、ラット(1群雌雄各16匹)に10週間与えた。なお、対照群は2群設定した。体重増加抑制は雄の0.3%群にのみ認められた。血液コレステロール値に異常は認められなかった。死亡例は0.3%群(雄4例、雌2例)、0.1%群(雄2例)、対照の2群(雄各1例)に認められた(Frawley et al., 1965b)1)

ラットを用いた16週間反復投与毒性試験
1群雌雄各24匹の離乳期ラットに0又は0.1% BHT含有食を与え、16週間反復投与毒性試験を実施した。体重増加率、摂餌量に異常は認められなかった。肝臓及び副腎の重量増加が認められたが、病理組織学的変化は観察されなかった(Gaunt et al., 1965a)1)

イヌ
イヌを用いた4週間及び12ヶ月間反復投与毒性試験
4匹のイヌにBHT 1.4-4.7g/kgを2-4日毎に4週間投与した。軽度から中等度の下痢が認められたが、病理解剖所見に異常は認められなかった。BHT 0.15-0.98g/kgを週5日12ヶ月間投与した。一般状態、病理解剖所見、病理組織学的所見に異常は認められなかった (Deichmann et al., 1955) 1)

サル
サルを用いた4週間反復投与毒性試験
1群3匹の幼児又は若齢アカゲサルにBHT 0、50又は500mg/kgを与え、4週間反復投与毒性試験を実施した。尿、血液及び血液化学の所見に被験物質に起因する変化は認められなかった。病理組織学的検査において、肝臓において細胞及び核に腫大が認められた以外に被験物質に起因する異常は観察されなかった(Allen & Engblom, 1972)1)


遺伝毒性 (link to CCRIS),  (link to GENE-TOX)
復帰変異試験
試験 試験系 濃度 結果 文献
復帰変異 サルモネラ TA1535, TA1537 TA1538 0.015-0.6% 陰性 Brusick , 19751)
復帰変異 サルモネラ TA97, TA102,TA104, TA100 100-10000μg/plate 陰性 Williams et al. , 1990b1)
復帰変異 サルモネラ TA98, TA100,TA1535, TA1537,TA1538 0.015-0.6% 陰性 Brusick , 19751)
復帰変異 サルモネラ TA1535, TA1537 TA1538 0.015-0.6% 陰性 Brusick , 19751)



がん原性 (link to CCRIS)
マウス
マウスを用いた92-96週間癌原性試験
雌雄各48匹のCFI系マウスにBHT 1000、2500又は5000mg/kgを92-96週間与え、癌原性試験を実施した。生存率に有意な群間差は認められなかった。悪性腫瘍の発現率に対照群と最高投与群との間に有意差は認められなかったが、肺腫瘍の発現率が被験物質投与群において上昇した(対照群;47%、1000mg/kg群;53%、2500mg/kg群;74%、5000mg/kg群;75%)。良性卵巣腫瘍の発現率は対照群には認められなかったが、被験物質投与群において上昇した (Brooks et al., 1976) 1)

マウスを用いた96週間癌原性試験
1群雌雄各100匹のB6C3F1 マウスを用いて体重1kg当り0、200、1000又は5000mgのBHTを混餌投与法で与え、96週間の癌原性試験を実施したが、腫瘍発現率は対照群と被験物質投与群の間に有意差を認めなかった(Shirai et al., 1982)1)

マウスを用いた104週間癌原性試験
1群雌雄各50匹のB6C3F1マウスに0、1 又は2% BHT含有食を与え、104週間の癌原性試験を実施した。雄マウスの被験物質投与群に肝細胞腺腫の発現率上昇が認められた (対照群;19%、1%群;38%、 2%群;53%) (Inai et al., 1988) 1)

マウスを用いた107又は108週間癌原性試験
1群雌雄各20匹(対照群)又は50匹(被験物質投与群) のB6C3F1 系マウスに体重1kg当りBHT 0、3000、又は6000mgを107又は108週間混餌法で与え、癌原性試験を実施した。肝細胞腺腫又は肝細胞癌のそれぞれの発生率に有意差は認められなかったが、両者の合計の発現率は雄で若干増加した(対照群;1/20、3000mg/kg群;4/46、6000mg/kg群;5/49) (NCI, 1979)1)

マウスを用いた生涯試験
1群60匹のFAF系雄マウスに0、0.25 又は 0.5% BHTを含有する半合成飼料を与えた。BHT群の平均寿命は対照群より長く、0.25%群;17.0 ヶ月、0.5%群;20.9ヶ月、対照群;14.5ヶ月であった(Harman, 1968)1)

ラット
ラットを用いた24ヶ月間癌原性試験
1%ラード含有食に02、0.5 又は0.8% BHTを添加してラット(1群雌雄各15匹)に与え、24ヶ月間癌原性試験を実施した。一般状態及び病理組織学的所見に被験物質投与に起因する異常は認められなかった(Deichmann et al., 1955)1)

ラットを用いた24ヶ月間癌原性試験及び生涯試験
JCL系雌雄ラットに0、0.005、0.062又は0.32% BHT含有食を与え、24ヶ月間(1群、10匹)又は生涯試験(1群、15匹)を実施した。癌原性を示唆する異常は認められなかった(Hiraga, 1978)1)

ラットを用いた104週間癌原性試験
1群雌雄各57匹のWistar系ラットに0.25 又は1% BHT含有食を与え、104週間の癌原性試験を実施した。対照群には雌雄各36匹を宛てた。被験物質投与群の生存率は40-68%であった。病理組織学的検査の結果、腫瘍発現率の高い臓器組織があったが、用量相関性が認められず、癌原性は陰性と判断された(Shibata et al., 1979; Hirose et al., 1981) 1)

ラットを用いた105週間癌原性試験
1群雌雄各50匹のFischer 344ラットに体重1kg当りBHT 3000又は6000mgを混餌法で与え、105週間の癌原性試験を実施した。なお、被験物質は4%脂肪食に添加した。対照群には普通食を与え、雌雄各20匹を宛てた。死亡率及び病理組織学的所見に癌原性を示唆する異常は認められなかった(NCI, 1979)1)

ラットを用いた110週間癌原性試験
雌雄のF344ラットに体重1kg当り12000mg BHTを混餌法で与え、110週間癌原性試験を実施した。肝細胞癌の発現は認められなかった。肝細胞腺腫が対照群及び被験物質投与群に観察されたが、被験物質投与との関連性は認められなかった(Williams et al., 1990a) 1)。 4.2.6 ラットを用いた144週間癌原性試験及び次世代試験 Wistar系 ラットに体重1kg当り0、25、100又は500mg BHTを混餌法で親世代に13週間与え、F1 ラットに体重1kg当り0、25、100又は250mg BHTを144週間与えた。F1 ラットにおいて、肝細胞腺腫が雌雄の被験物質投与群に、肝細胞癌が雄の被験物質投与群に高い頻度で認められた。F1 ラットにおいて、250mg/kg群に肝酵素誘導、100mg/kg以上の群に甲状腺機能亢進像が認められた(Olsen et al., 1986)1)

上述の試験結果から、NOELは25 mg/kg と判断された(Price, 1994)1)

BHT (mg/kg)

有効動物数

肝細胞腺腫

肝細胞癌

雄 0

100

1

1

雄 25

80

1

0

雄 100

90

5

1

雄 250

99

18

8 

雌 0

100

2

0

雌 25

79

3

0

雌 100

80

6

0

雌 250

99

12

2 




生殖発生毒性 (link to DART)
マウス
10又は20%ラード含有食に0.1又は 0.5% BHTを添加しマウスに与え、繁殖させた。0.5%群の12日齢出産児に体重増加抑制が認められた。出産児に無眼球症が認められたが、この無眼球症はその後の追試(Anonymous, 1965)では見いだされなかった(Johnson, 1965)1)

マウス又はラットを用いたBHTの胎児毒性試験を以下の3種の投与法で実施したが、異常は認められなかった。妊娠期間中に1回投与(1000mg/kg)、交配前及び妊娠期間中(750mg/kg) 、交配前7-10週間及び妊娠期間中(マウス;250-500 mg/kg 、ラット;500又は700mg/kg) (Clegg, 1965)1)

0又は5% BHT含有食を妊娠マウス及び出産児に与え、出産児の行動を観察した。5%群に睡眠時間短縮、群居から隔離された時に誘引される攻撃性の増加、学習能力低下が認められた(Stokes & Scudder, 1974)1)

ラット
1群雌雄各16匹の離乳期ラットに体重1kg当りBHT 0-3000mgを添加した20%ラード混合食を与え、100日齢で交配した。同用量の被験物質を出産児に与え、100日齢で交配させた。繁殖能の異常及び催奇性は認められなかった(Frawley et al., 1965b)1)

体重1kg当りBHT 3000mgをラットに混餌投与し、生殖試験を実施した。母獣の体重増加抑制が認められた以外に一腹胎児数、平均体重、死産児数、生産児数に被験物質投与の影響は観察されなかった(Kennedy et al., 1966)1)

5.2.3 0.125%、 0.25% 又は0.5% BHT含有食をSD系ラットに交配前から授乳期まで与えた。0.5%群の出産児に体重の増加抑制及び生存率の低下が認められた。離乳前の0.5%群出産児に平面立ち直り反応時間の遅延、前肢の遊泳行動発達遅延、オープンフィールド試験における活動性低下傾向が認められた(Brunner et al., 1978)1)

0又は0.5-0.9% BHT含有食を6週齢のWistar系ラットに与え、19週齢で交配させて生殖試験を実施した。出産児は25日齢で殺処分した。被験物質投与群の出産児に体重増加抑制、異常行動及び脳に死亡細胞発現率増加が認められた(Meyer & Hansen, 1980) 1)

0.3% BHT含有のビタミンE欠乏食を妊娠ラットに5週間与えた結果、毒性症状は認められなかった。しかし、1.6% BHT含有のビタミンE欠乏食では胎児体重に著しい増加抑制及び胎児死亡率上昇が認められた(Ames et al., 1956)  ラットの生殖試験の最大耐量を検討する目的で、体重1kg当りBHT 0、500、750又は 1000mgを混餌投与法で与え、世代試験を実施した。被験物質投与群の出産児に発育抑制傾向及び肝臓重量の増加が認められた(Robens Institute, 1989)1)

ニワトリ
0.125% BHT含有食を34週間与えたニワトリの受精率、孵化率及び幼雛の一般状態は対照群と被験物質投与群の間に差はなかった(Shellenberger et al., 1957)1)

サル 1群6匹の雌赤毛サルに体重1kg当りBHA 0又は50 mgを交配前1年間及び妊娠期間中165日間混餌法で与えた。母獣及び出産児に異常は認められなかった(Allen, 1976)1)


局所刺激性
肝毒性
マウス
ddY系雄マウスにBHT (200-800 mg/kg)とGSH合成阻害薬を併用して経口投与した。SGPT活性の上昇及び肝小葉中心性の壊死を特徴とする肝障害が認められた(Mizutani et al., 1987)1)

ラット
Wistar系雌ラットに0 又は0.4% BHT含有食を80週間投与した。肝臓重量、ミクロソームタンパク及び薬物代謝酵素の増加が認められたが、18日間休薬によりこれらの変化は消失した(Gray et al., 1972)1)

雌ラットに0又は0.4% BHT含有食を80週間投与し、18日間休薬した。投与終了時に肝重量増加、薬物代謝活性酵素の上昇が認められたが、休薬によりこれらに変化は可逆性を示した(Crampton et al., 1977)1) 1群8匹のWistar系雄ラットに 0.5% BHT含有食を2、4、8、10又は14日間与えた結果、[3H]チミジンの取り込みが増加した。しかし、この変化は8日以内に消失した(Briggs et al.,1989)1)

SD系ラットにBHT を1回与え、DNA をアルカリ溶出法で測定した結果、700 mg/kgでは溶出増加が認められたが、140mg/kgでは異常は認められなかった。この結果から、高用量BHTは肝臓DNAに障害を誘発すると結論された(Kitchin & Brown, 1987)1)

Wistar系ラットにBHT 7-250mg/kgを7又は28日間投与し、その後1000又は1250mg/kgを4日間投与した。7又は28日間投与では肝臓肥大及び胆管周囲細胞の壊死が認められたが、高用量4日間追加投与では肝小葉中心性の壊死が48時間以内に認められた(Powell et al., 1986)1)

SD系ラットにペントバルビタール又はブチオニンスルホキシドを前処置し、BHT 500 mg/kgを1回経口投与した。BHT単独投与では肝毒性は認められなかったが、ペントバルビタール又はブチオニンスルホキシドとの併用投与で肝細胞の凝固壊死が観察された(Powell & Connolly 1991)1)

腎毒性
ラット
BHT 1000 mg/kgの1回大量投与は雄F344ラットに対して腎毒性を誘発し、ペントバルビタール前処置(80mg/kg、4日間腹腔内投与)は腎毒性を増強させた。しかし、雌ラットの腎毒性の程度は雄ラットより軽度であった(Nakagawa & Tayama. 1988)1)

1群5匹の Wistar系雌ラットに1% BHT含有食(含むカゼイン塩又はラクトアルブミン)を13-48日間与え、腎毒性を検討した。BHTはいずれの飼料においても腎症を、更にカゼイン塩含有群に腎石灰沈着を誘発した(Meyer et al., 1989)1)

1群雌雄各10匹のddY系雄マウスに0、1.35、1.75、2.28、2.96、3.85又は 5% BHT含有食を30日間与え、腎臓の病理組織学的検査を実施した。腎毒性所見が1.35%以上の投与群に用量と相関して認められた(Takahashi, 1992)1)

肺毒性
マウス
若齢Swiss Webster系雄マウスにBHT 63- 500mg/kgを腹腔内投与し、1-5日後に殺処分した。250mg/kg以上の投与群の肺に肺胞細胞の増殖、重量増加、DNA及びRNA合成量増加が認められた(Saheb & Witschi, 1975)1)

Swiss系雄マウスに400 mg/kg BHTを腹腔内投与し、殺処分2時間前にH3チミジンを与え肺胞細胞への取り込みを調べた。2-5日後の殺処分動物にH3チミジン取込量が増加した(Adamson et al., 1977)1)

NMRI マウス、Wistar系ラットにBHT 500 mg/kgを腹腔内又は強制経口投与し、 4日後にC-14チミジンを投与した後、殺処分した。マウスでは雌雄とも被験物質の腹腔内又は強制経口投与群に肺でDNA合成量が増加した。ラットにおいてはDNA合成量増加は雄では認められず、雌では僅かしか認められなかった(Larsen & Tarding, 1978)1)

Swiss系雄マウスにBHT (0、63、 215又は 500 mg/kg)を腹腔内投与し、3日後に肺DNAを測定した結果、DNA濃度の上昇が認められた。この結果から、BHTは肺の炎症及び増殖性病変を増強させると推測された(Omaye et al., 1977) 1)

BHT投与によるType I肺胞細胞の変性所見及び再生パターンからBHTと細胞膜の相互作用によって細胞融解及び細胞死が誘発されると推測された(BIBRA, 1977)1)

BHT誘発のマウス肺病変はcedar terpenes投与で抑制された。3週齢以下のマウスでは肺病変は認められなかった(Malkinson, 1979) 1)

BHTによるマウスの肺病変は4メチル基の重水素化で軽減することから、BHT代謝物2,6-di- tert-butyl-4-methylene-2,5-cyclohexadienoneに起因すると判断された(Mizutani et al., 1983)1)

雄マウスにBHTを1回投与し、肺の電子顕微鏡観察を実施した結果、type I肺胞細胞の脱落が観察され、同時にカタラーゼ及びペルオキシソームの減少が認められた(Hirai et al., 1983)1)

BHT投与による相対肺重量増加の程度は皮下投与の方が腹腔内投与より強かった(Thompson et al., 1986)1)

BHTとBHAの併用投与はCD-1系雄マウスを用いたBHT単独投与による肺重量の増加を増強させた(Thompson & Trush, 1988a)1)

マウスの肺スライス標本を用いた試験においてBHAはタンパク質共有結合を増強した。CD-1 マウスを用いたBHA皮下投与試験においても同様の結果が得られた (Thompson & Trush, 1988b)1)

雌雄A/JマウスにBHTを投与した結果、肺のカルパイン活性低下が認められた(Blumenthal & Malkinson, 1987)1)

BHT又はBHT代謝物BHT-BuOH 10-200 mg/kgをC57BL/6Jマウスに腹腔内投与した結果、肺毒性の程度はBHT-BuOHの方がBHTより4-20倍強かった(Maikinson et al., 1989)1)

合成副腎皮質ステロイド薬メチルプレドニゾロン皮下投与は雄C57BL/6NマウスにおけるBHT誘発肺毒性を一部抑制した(Okine et al., 1986)1)

マウスのBHT誘発肺毒性に代謝物BHT-BuOHが関与していることが示された(Malkinson et al., 1989)1)

マウスにおけるBHT誘発臓器特異性は、毒性代謝物の不活化に関与するGSH含量が肝臓より肺の方が少ないことに起因すると推測された(Bolton et al., 1990) 1)

4系統のマウスにBHTを1回投与し、肺毒性と致死量について検討した結果、両者の間に相関は認められなかった(Kehrer & DiGiovanni, 1990)1)

BHT誘発のマウス肺毒性抑制を非近交系MF1マウスを用いて検討した結果、O,O,S-trimethylphosphoro-dithioate、ブルモホスエチル、p-キシレン、β-ナフトフラボン又はピラゾールは肺毒性を減弱させた(Verschoyle et al., 1993)1)

1群20匹のSwiss系マウスにBHT 0、200、400 又は800mg/kg腹腔内投与し、24時間、48時間又は7日後に殺処分した。肺毒性の程度は投与用量及び経過日数に伴い強くなった(Waseem & Kaw, 1994)1)


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
誤用
報告なし
その他
BHTとBHAの1:1混合物(50mg)を用いたプラセボ対照二重盲検試験が蕁麻疹患者44名、アトピー皮膚炎患者91名、接触性皮膚炎患者123名に対して実施されたが、有効性は認められなかった(Hannuksela & Lahti, 1986)1)

BHTを含有するサポート包帯を使用した脚潰瘍患者2名に接触性皮膚炎が誘発された。この包帯使用中止により、病変は改善された。BHTのパッチテストをこの2名の患者に実施した結果、陽性結果が得られた(Dissanayake & Powell, 1989)1)

1336名の湿疹患者のパッチテスト結果及び化合物データベースから推定される暴露量を基にBHTの感作性リスクを検討した。2年間の試験結果から陽性結果は得られなかった。この結果から、通常濃度のBHT使用ではアレルギー性接触性皮膚炎は誘発されないと判断された(Flyvholm & Menne, 1990) 1)

慢性特発性蕁麻疹患者2名を用いて各種添加物に対するプラセボ対照二重盲検誘発試験を実施した結果、BHT及びBHAは疾患の原因物質と同定された。BHT及びBHA使用中止により疾病の重度及び有害事象発生頻度が長期にわたり低減した(Goodman et al., 1990)1)

20-300 μM BHTを健常人の血小板と混合して培養した結果、プロテインキナーゼC活性の上昇が用量に伴って認められた(Ruzzene et al., 1991)1)

培養条件下で、100 μg/mL BHTはヒト抹消リンパ球に対して細胞毒性を示した(Klein & Bruser, 1992)1)


この資料の一部は食品・医薬品共用添加物の安全性研究の成果を引用した.

参考文献
OECD database (link to SIDS)

1) WHO Food Additive No.35 Butylated hydroxytoluene 1995  (link to WHO DB)

707. Butylated hydroxytoluene (BHT) (WHO Food Additives Series 28)  (link to WHO DB)
609. Butylated hydroxytoluene (WHO Food Additives Series 21)  (link to WHO DB)
950. Butylated hydroxytoluene (BHT) (WHO Food Additives Series 42)  (link to WHO DB)
559. Butylated hydroxytoluene (BHT) (WHO Food Additives Series 18)  (link to WHO DB)
417. Butylated hydroxytoluene (WHO Food Additives Series 10)  (link to WHO DB)
   

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