日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 シリコーン樹脂エマルジョン
英文名 Silicon Resin Emulsion、Dimethylpolysiloxane

CAS 9016-00-6   (link to ChemIDplus)
別名 
収載公定書  食添(JSFA-IX)
用途 消泡剤


JECFAの評価
NOAEL(無毒性量)又はNOEL(無影響量)ラットの3ヶ月毒性試験: 150 mg/kg体重/日1) ヒトのADI(1日摂取許容量)0〜1.5 mg/kg 1) 


単回投与毒性  (link to ChemIDplus)
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
ラット 皮下 >5 g/kg体重 Frazer, 1959 2)
ラット 筋注 >5 g/kg体重 Frazer, 1959 2)
ラット 腹腔内 >5 g/kg体重 Frazer, 1959 2)
ウサギ 皮下 >5 g/kg体重 Frazer, 1959 2)
ウサギ 筋注 >5 g/kg体重 Frazer, 1959 2)
ウサギ 腹腔内 >5 g/kg体重 Frazer, 1959 2)

急性毒性の知見は、試料の粘ちょう性により異なり、一般的に腹腔内投与>10ml/kgで観察された。Child et al., 19513)

試されたシリコーン樹脂エマルジョンのうち、ヘキサメチルジシロキサンとドデカメチルペンタシロキサンのみが、ウサギの皮内及び皮下投与において刺激性を示した。経皮投与においては、試した20種類の全てのシリコーンが一ヶ月間毒性を示さなかった。Rowe et al., 19483)


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
雌ラット(5匹/群)にシリコーン樹脂エマルジョンをそれぞれ0%及び0.1%混ぜた飼料を3ヶ月間投与したところ、ラットの体調、体重、成長度、血液尿素量及び臓器重量に変化は見られなかった。 また、主要臓器の病理学的所見にも異常はなかった。Child et al., 19513)

雌ラット(5匹/群)にシリコーン樹脂(液体:350 cSt)をそれぞれ0、1.0、2.0、5.0、10.0及び20.0 g/kg体重の用量で28日間にわたり、20回投与したところ、ラットの体重、血液像、 臓器重量及び病理学的所見に異常は見られなかった。Rowe et al., 19484)

粘ちょう度が50、350、1,000、10,000及び60,000 cStのシリコーン樹脂をそれぞれ1%混餌した飼料でラット(雌雄各10匹/群、対照群は雌雄各20匹)を90日間飼育したところ、ラットの生存率及び摂餌量、 血液学的指標、臓器重量及び病理学的所見に異常は見られなかった。MacDonald et al., 19605)

ジメチルポリシロキサン(DC151)をそれぞれ0.3%及び1.0%混餌した飼料でラット(15匹/群、対照群は10匹)を飼育したところ、摂餌量、血液像及び生存率は対象群と差がみられなかった。 しかし、最大投与群に軽い体重抑制の傾向が認められた。Pollard, 19605)

粘ちょう度が50及び350 cStのシリコーン樹脂をそれぞれ1%混餌した飼料でラット(雌雄各5匹/群、対照群は雌雄各10匹)を1年間飼育したところ、 ラットの体重、血液像、血液尿素、窒素量、SGPT、コレステロール量、血清アルカリフォスファターゼ、尿分析及び臓器重量に異常は見られなかった。 また、主要臓器の病理学的所見も正常であった。Carson et al., 1966 7)

シリコーン樹脂混合物(96%ジメチルポリシロキサン及び4%シリカエアロゲル)を1%混餌した飼料でラット(雌雄各5匹、対照群は雌雄各10匹)を1年間飼育したところ、ラットの成育、 体重、血液像、血液尿素、尿分析、血清ピルビン酸アミノ転移酵素活性、臓器重量(10臓器)及び病理学的所見(13臓器)に異常は見られなかった。Carson et al., 1966 7)

50%アンチフォームA(シリコーン・エイス・シリカ)及び2%ペンタエリスリトール・ジステアレイト(乳化剤として)からなるシリコーン樹脂エマルジョンをそれぞれ0、0.5及び2%混餌した飼料でラット(雌雄各5匹/群) を約260日間飼育したところ、ラットの体重及び臓器重量に異常は見られなかった。血液像も正常で、各グループの1組ずつに出産させたがその仔も正常であった。Frodsham, 19568) 上記で用いたのと同様なシリコーン樹脂混合物を1%混餌した飼料でウサギ(雌雄各3羽/群、対照群は雌雄各6羽)を8ヶ月間飼育したところ、2.6のラットで観察した全ての指標において投与群と対照群における差は見られなかった。  Carson et al., 19667)

粘ちょう度が50及び350 cStのシリコーン樹脂をそれぞれ1%混餌した飼料でウサギ(雌雄各3羽/群、対照群は雌雄各6羽)を8ヶ月間飼育したところ、ウサギの体重、血液像、血液尿素、窒素、SGPT、コレステロール、  血清アルカリフォスファターゼ、尿分析及び臓器重量に異常は見られなかった。Carson et al., 19667)

シリコーン樹脂0、300、1,000及び3,000mg/kg体重を毎週5日間投与で6ヶ月間イヌに投与したところ、投与群に軟便や頻便が見られたほかは体重等の変化は見られなかった。3,000mg/kg体重投与群のイヌの便に少量のシリコーン樹脂が見受けられた。 尿分析及び血液像にも変化は見られなかった。さらに、肉眼的及び病理学的所見にも異常はなかった。シリコーン樹脂の全ての投与群において、肝のクッパー細胞や実質細胞に鉄欠乏胆汁による褐色/黒色の沈着物が見られ、その現れ方には シリコーン樹脂の用量相関性があった。また、同様な沈着物は最高投与群のイヌの肝小葉間の胆汁管にも見られたが、毒性学的な解釈は明確でない。Child et al., 19513)

ジメチルポリシロキサン(DC151)1.0及び313g/kg体重/日をイヌ(雄2匹/群)に8ヶ月間投与したところ、イヌの行動学的所見、体重、血液像及び尿分析には異常が見られなかった。また、毎月行った肝、脾臓、腎及び骨髄の生検でも異常は見られなかった。  Pollard, 19606)

シリコーン樹脂を0及び0.3%混餌した飼料でラット(雌雄各25匹/群)を2年間飼育したところ、ラットの外見、成育、生存率、血液像、血液尿素、肝脂肪、臓器重量、肉眼的及び病理学的所見に異常は見られなかった。Rowe et al., 19509)

シリコーン樹脂を0、0.01及び0.1%混餌した飼料でラット(雌30匹、雄10匹/群)を2年間飼育し、さらに2世代同じ飼料で飼育を続けた。F1世代は28週で、F2世代は25週で剖検したところ、ラットの体重及び肉眼的と病理学的所見には異常が見られなかった。 小腸のわずかな重量増加が認められたが、統計的な有意差はなかった。腸管壁におけるシリコーン樹脂の沈着や他の臓器の過度な増大も認められなかった。また、腫瘍形成、肝機能、尿分析、脂肪沈着、腎機能及び血液像においても異常は見られなかった。Frazer, 1959 10)

シリコーン樹脂を0及び0.1%混餌した飼料で幼若ラット(10匹/群)を2年間飼育したところ、ラットの体重、行動学的所見及び病理学的所見に異常は見られなかった。Gloxhuber & Hecht, 195511)


遺伝毒性
該当文献なし


以下については反復投与毒性の項も参照
がん原性
生殖発生毒性  (link to DART)
局所刺激性


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
ジメチルポリシロキサンを含む製剤を胃カメラ検査時の消泡剤及び抗鼓脹剤としてヒトに最高投与量200mg/日で用いられている。  Dailly & Rider, 1954 12) Garry, 1956 13)  Oswald, 196114) Hock, 196215) Entine, 196216) Reinhalt, 196117)

ジメチルポリシロキサン(DC151)48mlを27名の患者に分割して3〜13ヶ月間投与したところ、時折、吐き気を催す以外に著名な副作用は見られなかった。Pollard, 19605)

低分子量ポリマーを含まないポリジメチルシロキサンM及び低分子量ポリマーを含むポリジメチルシロキサンAをゴマ油に溶解した又は乳化した試料を飲食物を管理したヒトに単回経口投与(ゴマ油溶解試料100mg/kg又は乳化試料30mg/kg)した。  低分子量ポリマーを含まないポリジメチルシロキサンMを投与した場合は、投与後72時間の尿中の総シリコーン量及び溶剤可溶性シリコーン量の有意な増加は見られなかったが、低分子量ポリマーを含むポリジメチルシロキサンAの場合は、  尿中の総シリコーン量及び溶剤可溶性シリコーン量の増加が見られた。投与されたポリジメチルシロキサンAの1.8〜3.3%のシリコーン樹脂が尿中に排泄され、その中の約25%のシリコーン樹脂が溶剤可溶性シリコーンであった。  シリコーン樹脂Mを投与されたヒトの呼気を調べたところ、溶剤可溶性シリコーンは認められなかったが、シリコーン樹脂Aを投与されたヒトの呼気中には、投与後8時間までに投与量の約0.35%のシリコーン樹脂が溶剤可溶性シリコーンとして検出された。  検出された溶剤可溶性シリコーンは、主としてオクタメチルシクロテトラシロキサンであり、少量のデカメチルシクロペンタシロキサンを含んでいた。Anonymous, 197418)


この資料の一部は食品・医薬品共用添加物の安全性研究の成果を引用した.


引用文献
1) WHO Food Additive Series No.6 Dimethylpolysiloxane ascorbate. 1981 (linke toWHO DB)
2) Frazer, A. C. (1959) Unpublished report dated November
3) Child, G. P., Paquin, H. O., jr & Deichmann, W. B. (1951) Arch.industr. Hyg., 3, 479
4) Rowe, V. K., Spencer, H. C. & Bass, S. L. (1948) J. industr. Hyg., 30, 332
5) W. E., Lainer, G. E. & Deichmann, W. B. (1960) Arch.industr. Hyg., 21, 514 size:10.0pt'>DJ
6) Pollard, H. M. (1960) Unpublished report supplied by Dow Corning Co
7)Toilet Goods Association, No. 45, 8-19 Carson, S., Weinberg, M. S. & Oser, B. L. (1966)
8) Frodsham, J. (1956) Unpublished report No. IHR/63, Imperial Chemical Industries Ltd., Industrial Hygiene Research Laboratories
9) Rowe, V. K., Spencer, H. C. & Bass, S. L. (1950) Arch. industr. Hyg., 1, 539
10) Frazer, A. C. (1959) Unpublished report dated November
11) Gloxhuber, C. & Hecht, G. (1955) Arzneimittel. Forsch., 5, 10
12) Dailly, M. E. & Rider, J. A. (1954) J.A.M.A., 155, 859
13) Garry, M. W. (1956) Amer. J. Gastroent., 25, 7
14) Oswald, W. J. (1961) Curr. Ther. Res., 3, 443
15) Hock, C. W. (1962) Med. Times, 90
16) Entine, J. H. (1962) J. Abdom. Eng., 4, 123
17) Reinhardt, W. I. (1961) Med. Times, 89, 1099
18) Anonymous (1974) Report No. 4244 from Dow Corning Corp., Sines 10030 Project No. 0831

   

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