日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 ロジン
英文名 Rosin

CAS 8050-09-7 (link to ChemIDplus)
別名 コロホニウム、Colophony

収載公定書  局方(JP17), 外原規(2006)
用途 コーティング剤,光沢化剤,粘着剤,基剤,着香剤・香料,粘着増強剤,粘稠剤


JECFAの評価 (link to JECFA)
ロジン単独の評価はない。Wood Rosinのグリセロールエステルとしての評価は以下の通りである。長期投与及び生殖毒性試験のデータがないけれども当委員会は以前にレビューしたデータ及び今回のADMEに関するデータからADI(1日許容摂取量)を決めることは適当である。食品グレードのものを用いたラットでの13週間の毒性実験(作用量;2500mg/kg)を基にして、安全係数100を考慮してADIを0-25mg/kgとする。(FAS 37、1996年 1)


単回投与毒性
動物種 Pale gum rosin Pale wood rosin Pale tall oil rosin 文献
マウス 4600mg/kg 4100mg/kg 4600mg/kg Anonymous, 1974 2)
ラット 7600mg/kg 8400mg/kg 7600mg/kg Anonymous, 1974 2)
モルモット 4100mg/kg 4100mg/kg 4600mg/kg Anonymous, 1974 2)



反復投与毒性 (link to TOXLINE)
ラット
1群雌雄各10匹のラットに、ロジン(gum rosin)の0、0.01、0.05、0.2、1.0又は5.0%混餌食を90日間与えた。最高用量の5.0%群では全例死亡。1.0%群では最初の2週間で摂餌量の低下、体重増加の遅延が見られた。又、剖検時に肝肥大が認められたが病理組織学的には異常なかった。0.2%以下の群では成長、摂餌量、血液所見、尿分析、臓器の肉眼的及び組織学的所見に異常は見られなかった。2) (Anonymous., 1960a)

1群雌雄各30匹のラットに、ロジン(gum rosin)の0、0.05、0.2又は1.0%混餌食を2年間与えた。1.0%群では軽度の成長抑制が見られ、剖検時に肝肥大が認められたが病理組織学的には異常なかった。0.2%以下の群では死亡率、成長、摂餌量、血液所見、臓器の肉眼的及び組織学的所見に異常は見られなかった。2) (Anonymous., 1962d)

イヌ
1群雌雄各3匹のイヌに、ロジン(gum rosin)の0、0.05又は1.0%混餌食を2年間与えた。1.0%群では肝及び腎に軽度の肥大が認められたが病理組織学的には異常なかった。0.05%の群では死亡率、体重、摂餌量、血液所見、尿検査、臓器の肉眼的及び組織学的所見に異常は見られなかった。2) (Anonymous., 1962a)


遺伝毒性
がん原性
生殖発生毒性 (link to DART)
局所刺激性
その他の毒性


ヒトにおける知見
歯科包帯を繰り返し使用した後、口内炎を発症した患者にパッチテストを行い、コロホニー(ロジン)に対する感作性が明らかになった。18名(男性6名、女性12名、年齢33-71才)のうち3名(17%)はコロホニーに対し陽性反応を示した。3) (Koch et al., 1971)

歯科患者に使用される資材で、処置前に陰性であった133名の患者はコロホニーに対して無視し得る程度の感作性が求められた。即ち、パッチテストで1例(0.8%)のみが陽性であった。3) (Koch et al., 1973)

歯周病の手術用の包帯で、ロジンに対する接触アレルギーを有する33歳の女性のケースレポートである。歯周手術では術後の合併症はない。手術1週間後に包帯を取り替え、その14日後に口及び皮膚に症状が出たので、包帯をwax packingに取り替えたところ24時間後に症状は消失した。パッチテストではロジンに対する接触アレルギーのあることが判明した。包帯の成分であるオイゲノール、酸化亜鉛には反応しなかった。3) (Lysell., 1976)

ロジンを含有する化粧品類で接触アレルギーを呈した150名の女性にパッチテストを行った。ロジンのタイプについては明確にされていない。150名のうち、1名(0.7%)のみがロジンに対し反応陽性であった。3) (De Groot et al., 1988)

コロホニー(ロジン)を含め、いくつかの疑いあるアレルゲンに対する接触感作性を検討する為に、1785名の患者にパッチテストを行った。ロジンのタイプについては同定していない。適用後48又は72時間後にロジンに対して陽性であった者は50名(2.8%)であった。男性613名中11名(1.8%)、女性1172名中39名(3.3%)であり、性による相違は有意であるとは思われなかった。50才以上ではその頻度は4.4%と高くなった。3) (Young et al., 1988)

18ヶ月間口周囲炎の再発を繰り返した8才の少年のケースレポート。少年は口周囲炎発症前にしばしばチューイングガムを摂っていた。パッチテストの結果、チューイングガムと同様、コバルト、ロジン、香料ミックス、樫苔(oakmoss)、イソオイゲノールに陽性であった。チューイングガムの摂取を止めると口周囲炎は改善したが消失するには至らなかった。3) (Satyawan et al., 1990)


引用文献
1) Glycerol ester of wood rosin (WHO Food Additives Series 37), The 46th meeting of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA) 1996 (link to WHO DB)

2) Glycerol ester of wood rosins (WHO Food Additive Series 6), The Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives which met in Rome, 4-13 June 1974, World Health Organization, Geneva 1975  (link to WHO DB)

3) Glycerol ester of wood rosin (WHO Food Additive Series 35), The 44th meeting of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives(JECFA) 1996. (link to WHO DB)




   



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