日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 綿実油
英文名 Cotton Seed Oil

CAS 8001-29-4 (link to ChemIDplus)
別名 Cottonseed Oil

収載公定書  薬添規(JPE2018),  外原規(2006)  USP/NF(28/23)(Cottonseed Oil)
用途 賦形剤,溶剤


単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
ラット 雄 経口 275 ml/kg (4回投与量) Boyd EM et al., 1969 1)
ラット 雄 経口 281 ml/kg Boyd EM et al., 1971 2)

ラットに綿実油を経口投与した急性毒性試験において、毒性を示さなかった。3) (Anonymous, 2001)


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
ウサギに、2 %の綿実油を含む飼料を7週間投与した。その結果、(小麦ふすまを投与した対照群と比較して)血液化学検査値が有意に低下した。また、(他の油脂を投与したウサギと比較して)肝臓中のビタミンA蓄積量が有意に増加した。3) (Anonymous, 2001)


遺伝毒性
試験 試験系 濃度 結果 文献
復帰変異 サルモネラ菌(S9-, S9+) - 陰性 Saleh MA et al., 1986 4)

綿実油は変異原性を示さなかった。3) (Anonymous, 2001)


がん原性
マウスに綿実油を経口投与したとき、ACF(大腸癌前駆病変)を誘発しなかった。しかし、他の研究においては、ラット及びマウスで乳癌の自然発生率を増加させた。3) (Anonymous, 2001)

マウスにおける20 %硬化綿実油の投与群では、20 %ひまわり油の投与群と比較して、光発癌誘発性及び光発癌プロモーションにおいて、有意に腫瘍の発生率が低かった。3) (Anonymous, 2001)

3箇月齢のC3H雌マウスに5mgの乳腺癌細胞を注射し、同時に、脂肪を含まない飼料、飽和脂肪酸(15 %硬化綿実油)含有飼料又はリノール酸エステル(1〜15 %コーン油)含有飼料を投与した。6週間後に、リノール酸エステル含有飼料の投与群は、脂肪を含まない飼料及び飽和脂肪酸含有飼料の投与群よりも3〜4倍の腫瘍の重さとなった。脂肪を含まない飼料及び飽和脂肪酸含有飼料によりマウスの乳腺腫の成長は抑制され、リノール酸エステル含有飼料によりマウスの乳腺腫の成長は促進された。5) (Rao GA et al., 1976)

35週齢のC3Hマウスにおける乳癌の自然発生率は、脂肪酸組成物を含む飼料の投与群よりも、綿実油を含む飼料の投与群の方が高かった。発生率50 %に達する時間も綿実油の投与群で短かった。C3Hマウスにおける乳癌の自然発生率と綿実油中のシクロプロペン脂肪酸含有量の間で相関関係が示された。6) (Tinsley IJ et al., 1982)

腺組織の含まない綿実(種子)を含む飼料又はほとんど加工されていない綿実油を投与したニジマスで、1年後、肝細胞癌の数は、有意に増加していた。7) (Hendricks JD et al., 1980)


生殖発生毒性 (link to DART)
シクロプロペン脂肪酸を1 %以上含まない綿実油を精製済み飼料中に5 %,10 %,15 %,20 %,30 %濃度で使用し、SDラット(雌雄)に与えた。30 %濃度で、親世代では、性成熟及び生殖成績において有意に影響を及ぼさなかった。F1世代では、性成熟、一般状態及び発情周期は、有意に変化が起こったが、生殖そのものに関しては、見かけの上では影響を及ぼさなかった。高濃度の綿実油を与えたラットの生存結果と1 %ヤツデアオギリ油を与えたラットの生存結果を直接比較する。1 %ヤツデアオギリ油で新生仔死亡率は100 %であったが、30 %濃度の綿実油は20 %の新生仔死亡率であった。8) (Sheehan ET et al., 1967)

30 %までの綿実油(1 %シクロプロペン脂肪酸含有)を経口投与し生殖試験を行った。性成熟期及びF0世代の生殖成績において有害作用を示さなかった。F1世代で変化は見られたが、生殖能力は変化を示さなかった。非経口の生殖試験においても有害作用を示さなかった。3) (Anonymous, 2001)


局所刺激性
ウサギを用い、硬化綿実油を含む製剤で刺激性試験を行ったところ、皮膚刺激性及び眼刺激性を誘発しなかった。3) (Anonymous, 2001)


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
臨床試験では、製剤中の硬化綿実油(約21 %濃度まで)は、刺激性も感作性も示さなかった。限られた臨床データにおいては、綿実油がアレルギー性のたんぱく質を含まないことを示唆した。信頼性のあるデータに基づき、ゴシポール、重金属、農薬の基準濃度を超えない化粧品で綿実油は、安全に使用されていると結論づけられた。3) (Anonymous, 2001)


引用文献
1) Boyd EM, Boulanger MA.. Acute oral toxicity of cottonseed oil. Toxicol Appl Pharmacol. 1969; 14: 432-8

2) Boyd EM, Krijnen CJ. Intolerance to cottonseed oil in rats fed a low protein diet. Food Cosmet Toxicol. 1971; 9: 389-94

3) Anonymous. Final report on the safety assessment of hydrogenated cottonseed oil, cottonseed (gossypium) oil, cottonseed acid, cottonseed glyceride, and hydrogenated cottonseed glyceride. Int J Toxicol. 2001; 20: 21-9

4) Saleh MA, Ahmed KA, Sharaf AN, Abdel-latif MS. Mutagenicity of heated cottonseed flying oil. J Food Saf. 1986; 7: 203-14

5) Rao GA, Abraham S. Enhanced growth rate of transplanted mammary adenocarcinoma induced in C3H mice by dietary linoleate. J Natl Cancer Inst. 1976; 56: 431-2

6) Tinsley IJ, Wilson G, Lowry RR. Tissue fatty acid changes and tumor incidence in C3H mice ingesting cottonseed oil. Lipids. 1982; 17: 115-7

7) Hendricks JD, Sinnhuber RO, Loveland PM, Pawlowski NE, Nixon JE. Hepatocarcinogenicity of glandless cottonseeds and cottonseed oil to rainbow trout (Salmo gairdnerii). Science. 1980; 208: 309-11

8) Sheehan ET, Miller AM, Kemmerer AR, Vavich MG. Cyclopropenoid fatty acids: Effect of high levels of cottonseed oil on maturity and reproduction in parental and F1 generations of rats.Fed Proc Fed Am Soc Exp Biol. 1967; 26: 800




   



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