日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 軽質酸化アルミニウム
英文名 Light Aluminium Oxide

CAS 1344-28-1 (link to ChemIDplus)
別名 アルミナ、Alumina
収載公定書  薬添規(JPE2018
用途 分散剤


管理濃度または暴露限界値 (日本産業衛生学会許容濃度)
ACGIH TWA 10 mg/m3 (inhalable (total) particulate matter) (1996) 1) (MSDS, 2005)


単回投与毒性

動物種

投与経路

LD50(mg/kg体重)

文献

マウス

皮下

>3600 mg/kg

1)(MSDS, 2005),2)(RTECS, 2004)


反復投与毒性 (link to TOXLINE)


遺伝毒性 (link to CCRIS)


がん原性 (link to CCRIS)

動物種

投与経路

TDLo

文献

ラット

胸腔内

90 mg/kg

発癌性の疑い

1)(MSDS, 2005),2)(RTECS, 2004)

ラット

埋込

200 mg/kg

埋込部の腫瘍:発癌性あり

1)(MSDS, 2005),2)(RTECS, 2004)



生殖発生毒性 (link to DART)


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
吸入による最低毒性濃度(TCLo

ラット

間歇吸入

200 mg/m3/5時間/28

1)(MSDS, 2005),2)(RTECS, 2004)

ウサギ

間歇吸入

200 mg/m3/5時間/28

2)(RTECS, 2004)




ヒトにおける知見 (link to HSDB)
アルミニウムおよび酸化アルミニウムの肺に対する影響を、英国内の飛行機プロペラ研磨作業者において血液検査と胸部X線検査により調査した。作業者の口周辺部における大気中のアルミニウム平均濃度は3〜5 mg/m3であり、作業者から3 m離れた大気中にアルミニウム粉塵は認めなかったが、酸化アルミニウムは0.1 mg/m3濃度で常存していた。研磨機および艶出し機周辺の大気中酸化アルミニウム濃度は、それぞれ、0.24および2.7 mg/m3であり、研磨作業者の97名のうち、27名は咳、そして10名は浅い呼吸を訴えた。病歴の問診では、研磨作業者と他の工場従事者との間に有意な差は見られず、また血球数においても両者に明らかな違いは見られなかったが、アルミニウム作業従事者に多形核白血球の傾向を示した。X線検査では92名中、7名の肺周辺部に陰影を認めた。これらの結果より、アルミニウムおよび酸化アルミニウムに気管、気管支または肺に何らかの病変を生じさせるようなエビデンスは得られていない。  3) (Hunter et al., 1944)

酸化アルミニウム(アルミナ)と関連した肺疾患について、実験的および疫学的なデータが総説された。1958年以来各種アルミナ製品の製造に従事した1109名の調査では、過度な塵埃濃度で暴露した非喫煙作業者において酸素供給能がわずかではあるが有意に減少していたこと以外は、肺線維症や塵肺症に対し否定的な結果であった。また、製陶作業者におけるアルミナ被爆に関する別の調査においても、塵肺症や他の慢性呼吸器系疾患に関連したエビデンスは得られていない。その他の調査を含めた最終結論として、著者は、特殊な試験を除き、アルミナの肺繊維原性は極めて低いとしている。 4) (Dinman, 1988)

酸化アルミニウムの研磨や旋盤に従事する1000名の作業者について調査された。かれらの被爆期間の平均は25年である。酸化アルミニウムに被爆した作業者のうち、9名に間質性線維症を示唆する知見が報告された。さらに3名は組織生検され、3例に蜂巣状の間質性線維が見られた。1例には珪肺症や石綿沈着症に見られるシリカ線維やアスベスト線維が見られたが、アスベスト小体やシリコン結節が存在しないことより、線維症は別の原因が示唆された。酸化アルミニウムおよびアルミニウム合金のようなアルミニウムが、自然値を超えてかなりの量が出現していた。これらの作業者では通常被爆により疾病を発症させる恐れがあり、混合型の塵埃線維症が想定されたとき、酸化アルミニウムは最も可能性があると著者らは示唆している。 5) (Jederlinic et al., 1990)

酸化アルミニウムに被爆した作業者の肺において鉱物濃度が分析された。対象者は男性5名(26−72才)であり、以前にアルミニウム産業に従事し、職業性と考えられる肺機能障害または肺線維症と評価されていた。かれらのうち4名は少なくとも4年以前にアルミニウム含有物からの被爆が終り、残り1名は6カ月前にアルミニウム被爆を終了していた。3名は気管支肺胞洗浄(BAL)処置が施され、ほかの2名は肺実質組織が生検された。BAL洗浄液と生検検体は、エネルギー分散型X線分光器を備えた透過型電子顕微鏡により、アルミニウムと他の塵埃粒子が解析された。さらに洗浄液と肺組織標本は、アスベスト小体について光学式顕微鏡により解析されたが、アスベスト小体は認められないか、または有意な基準値に達していなかった。肺組織標本では非繊維性鉱物粒子が約(6.48.5)×10 /gの高濃度で認められ、粒子中にアルミニウムを4056%含有していた。またBAL洗浄液中にアルミニウム線維が3×102 −2.1×10 /mL認められた。アルミニウム線維はかなり短く、そして薄く、長さは5ミクロン以下で平均長は1−2ミクロンであり、アスペクト比(縦×横)は8.6×25.6であった。線維はアルミニウムからのみ構成され、他の元素は検出されなかった。この調査から、以前にアルミニウム産業に従事していた作業者の肺にはアルミニウム線維が有意に保持されることが判明した。さらに追求して、線維の原因を確認し、起こりうる健康への影響を立証することが必要である。 6) (Voisin et al., 1996)


引用文献
1) MSDS-OHS
OHS00950 (2005.6.16)
2) RTECS
BD1200000 (2004.11)
3) Hunter D, Milton R, Perry KMA, Thompson DR Effect of Aluminium and Alumina on the Lung in Grinders of Duralumin Aeroplane Propellers. Brit. J. Ind. Med. 1944; 1(3): 159-164
4) Dinman BD Alumina-Related Pulmonary Disease. J. Occupational Med. 1988; 30(4): 328-335
5) Jederlinic PJ, Abraham JL, Churg A, Himmelstein JS, Gaensler EA Pulmonary Fibrosis in Aluminium Oxide Workers. Investigation of Nine Workers, with Pathologic Examination and Microanalysis in Three of Them. Am. Rev. Respir. Disease 1990; 142(5): 1179-1184
6) Voisin C, Fisecki F, Buclez B, Didier A, Couste B, Bastien F, Brochard P, Pairon J-C Mineralogical Analysis of the Respiratory Tract in Aluminium Oxide-exposed Workers. Eur. Respir. J. 1996; 9(9): 1874-1879
   


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