日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 ポビドン
英文名 Povidone

CAS 9003-39-8  (link to ChemIDplus) , (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 ポリビドン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン K25、ポリビニルピロリドン K30、 ポリビニルピロリドン K90、Polivinylpyrrolidone
収載公定書  局方(JP17),USP/NF(26/21) EP(4)
用途 安定(化)剤,滑沢剤,矯味剤,結合剤


最大使用量
K25:経口投与 400mg、眼科用剤 30mg/g、 K30:経口投与 600mg、一般外用剤 50mg/g、経皮 70mg、舌下適用 11.58mg、眼科用剤 20mg/g、耳鼻科用剤 50mg/g、歯科外用及び口中用 40mg/g、直腸膣尿道適用 60mg、 K90:経口投与 320mg、一般外用剤 30mg/g、眼科用剤 0.5mg/g、歯科外用及び口中用 150mg、その他の外用 14mg/g 

JECFAの評価 (link to JECFA)
N-ビニル−2−ピロリドンの可溶性ホモポリマー、すなわちポビドン、に関するデータのみを評価した。ポビドンの経口投与による発ガン性は報告されていない。非経口的投与、主として静注や腹腔内による研究は、ある条件下で網内系(RES)にポビドンの蓄積がややあるかもしれないことを示唆している。長期間貯蔵の初期の予測は、循環中のポビドンの分子サイズに関連している。分子サイズが腎臓でのろ過される位のサイズであると貯蔵の可能性は少なくなる。このことは胃腸管からのポビドンの吸収に疑問がもたれる。ポビドンの胃腸菅からの吸収の正確なレベルを決定するのは困難である。

この困難さは、ポビドンのように親水性と親油性でもある化合物の吸収は、その分子サイズや分子量に依存するという事実、およびポビドンのようなポリマー製品は、異なる分子量の範囲から成るという事実に基づいている。胃腸管から吸収されたポビドンは、腎臓で除去されるサイズであり、RES中に貯蔵される可能性は減少すると見られる。ポビドン経口投与後の吸収、分布および排泄研究のデータは、この仮説を試験する必要があることを示している。

これらのデータは、放射能標識ポビドンを用いる研究で得ることができる。小腸から吸収され、尿細管でろ過される分子サイズに関する有用なデータの数学的解析は、探索すべき情報を提示してくれるであろう。RES貯蔵現象は、すべての高分子量ポリマーに共通するであろうことから、ポビドンは、食品添加物として用いられている他のポリマーとも比較するという観点からも評価すべきであろう。ポビドンの経口投与に帰する報告されている唯一の生物学的作用は、軟便と下痢である。ラットにおける長期摂取試験において、RES貯蔵の徴候だけでなく発がん性の証拠も示されなかった。

評価: 薬物動態およびRES蓄積に関する現存するデータあるいは新規データの再調査と評価までの間ADIの確定は延期する。


単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
動物種 投与経路 平均分子量 LD50(mg/kg体重) 文献
ラット 経口 10000-30000 40000 Scheffner, 1955 1)、BASF, 1958
マウス 経口 40000 Scheffner, 1955 1)、BASF, 1958
マウス 腹腔 12000-15000 Angervall and Barntsson, 1961 2)
ラット 経口 40000 100000 Burnetle, 1962 3)
Shelanski et al., 1953 4)
モルモット 経口 40000 100000 Burnetle, 1962 3)
Shelanski et al., 1953 4)

経口ポピドン(平均分子量 40,000)は、高用量で下痢を起こした。最低作用量は、ネコで0.5g/kgで、イヌで2g/kgであった。2頭のイヌに5g/lkgでポビドンを経口それぞれ1.5週および2週間与えたが、何の異常も認められなかった (Scheffner, 1955)1)


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
4頭の雌雄純系ビーグル犬に、それぞれ0、25,000、50,000、100,000ppmのポビドン(k-90)を、混餌食で28日間投与した。他の8頭の動物には混餌で100,000ppmのセルロースを与え対照とした。本物質の投与に関連した毒性作用や異常な変化は何ら認められなかった。ただ100,000ppm群ので雌で、脾臓重量が僅かに増加した(BASF, 1977)。

ポビドンk-90をSprague-Dawleyラット群(10ラット/性/群)に25,000と50,000ppmの混餌食で28日以上与えた。本物質の投与に帰する毒性作用や病理組織学的な変化は何も認められなかった(BASF, 1977)。

ポビドンは、ビーグル犬に迅速静脈投与による急性毒性を評価した。雌雄動物に0、1、3、または10g/kgbWのポビドンを投与し、引き続き28日間観察したが、どの用量でも死亡例はなかった(Hazelton Laboratories, 1970)。投与直後動物は直ぐに震えないしケイレンのような動作、排便、唾液分泌、意気消沈および眼瞼下垂が見られた。トランスアミラーゼや血液学的数値に初期散発的な変化がみられたが、投与48時間以内にほぼ正常に回復し、その後の28日間の観察期間基本的に正常のままであった。各組織の組織病理学的検査が行われたが、全身的に病理学的変化は何もなかったと報告された。 

雌雄2頭ずつの四群を次のように分けた; 10%セルロース(Solka Floc)食の対照; 2%ポピドンK-30プラス8%セルロース食; 5%ポピドンK-30プラス5%セルロース食; 10%ポピドン食。投与期間は2年間であった。この処置の終了時には特に悪影響は何もなかったと報告された。甲状腺、副甲状腺、心臓、肺、肋骨および骨髄、皮膚、胃、小腸、大腸、肝臓、胆嚢、脾臓、腎臓、リンパ節、膀胱、子宮または前立腺、副腎、膵臓、睾丸または卵巣の組織病理学的検査を実施した。高用量群のリンパ節に腫脹したRES細胞が認められた。中、低用量群およびセルロース対照群にもこの形跡は見られたが、その一致性や程度は弱いものであった。他の組織病理学的な知見は何も認められなかった(Burnette, 1962)3)

32頭のイヌを用いて1年間摂取させた類似した他の2つの実験でも、特に不利な作用は認められなかった。すべての動物の腸、脾臓および肝臓は、ポピドンの影響を受けなかった。しかし、ポピドンは、対照群をはじめすべての動物の腸間膜リンパ節に証明された(Burnette, 1962)3)

ラット、ネコ、イヌで実施したいくつかの短期試験で、毒性作用は何も認められなかった(Sheffner, 1955 1); Wolven and Levensten, 1957 5); Shelanski, 1958 6))。

慢性研究
ウィスター系ラット各群に、0、 1および10%のポピドン(mw38,000)含有食を2年間摂取させた。被験化合物 に帰するよな毒性作用または全身の組織学的な変化は何も認められなかった(BASF, 1958; Burnette, 1962)

他の2年間摂取試験において、ポピドン(K-25)を50,000または100,000ppmの濃度で餌に添加した。性別で均等に分けた各100匹のラット(Sprague-Dawley)群を本試験に用いた。食事摂取量、体重、検査したパラメター(尿、GPT, HB, 赤血球、 HT, 白血球、 各種血算、尿の状態)、顕微鏡的臓器所見および絶対的および相対的臓器重量(心臓、肝臓、腎臓)は、2つの対照群との差異は認められなかった。平均寿命は、試験動物と対照群で差異はなかった。すべての対照群および試験群での良性および悪性腫瘍の出現は、このラット系統での長期研究する際に通常認められる正常な範囲内であった。臓器の組織学的試験は、摂取試験に関連する変化は何もなかった。ポピドンK-25またはその分解物は、十二結腸または腸粘膜にも腸間膜リンパ節にも蓄積されなかった(BASF, 1976)。


遺伝毒性 (link to CCRIS)
ポピドンK-30一回腹腔内適用後雄マウスの胚細胞で突然変異作用を調べた(優性致死試験)。3160mgのポピドンK-30(アクアデストに溶解)を動物に単回注射した。Kg体重あたりの容量は、10mlであった。試験期間中にどの動物にも毒性症状は認められなかった。ポピドンK-30の投与は、妊娠率、移植の和、生存胎仔のパーセントまたは突然変異の数に何の作用も見られなかった(BASFe)。

マウス細胞(lymphoma L5178Y, TK+/-BUDRおよびBalb/3T3)を用いたin vitroの突然変異および形質変換試験において、メディウム中にPVP0.5%、 1.0%、5.0%および10%の濃度で処理したとき、無処理細胞と比較して特に突然変異または形質変換作用を示さなかった。(Carchman, 1979) 7)。 


がん原性 (link to CCRIS)
Hueper(1957,1959,1961) 8-10)は、種々の分子量のポピドンを含む3種の研究を報告した、第1の研究では、Heuper(1957)は、20,000、22,000、50,000および300,000の平均分子量を有する4種を用いた。1つのシリーズで、4種のポピドンを、C57BL黒マウス群およびBethsda黒ラット群の頚部皮下に粉末の形で埋め込んだ。2つ目のシリーズでは、同上の4種のポピドンを、同上の2種の腹腔内に埋め込んだ。別のシリーズでは、ラット群に7%溶液、2.5mlを静注で週一回、8週間投与した。実験したすべての動物は、試験中に死亡後または24ヶ月後にと殺した時に剖検した。Heuperは、リンホザルコーマ(lymphosarcoma)、網内細胞ザルコーマ(reticululum cell sarcoma)およびクッパー細胞ザルコーマ(Kupffer cell sarcoma)と記載した。本議論の目的で、すべてをRES sarcomasとして考慮する。 結果は次の通りであった。

動物種 投与経路 ポビドン(平均MW)  RES sarcomas Carcinomas
マウス 皮下(粉末) 20000
22000
50000
300000
0/50
3/50
0/50
1/50
0/50
0/50
0/50
0/50
マウス 腹腔 20000
22000
50000
300000
0/50
1/50
3/50
0/50
0/50
0/50
0/50
0/50
ラット 皮下(粉末) 20000
22000
50000
300000
7/50
0/50
9/50
7/50
0/50
1/50
0/50
1/50
ラット 腹腔 20000
22000
50000
300000
7/50
2/50
5/50
12/50
4/50
1/50
0/50
1/50
ラット 静脈内 20000
22000
50000
300000
2/50
0/50
6/50
2/50
1/50
1/50
1/50
1/50


マウス対照群のsarcomasの発生率は0.4%であった。試験した未処置対照群の1/23のラットにRES sarcomasが認められた。他のラット対照群は、種々の金属粉末またはデキストラン暴露したが、有効なデータはなかった。同様な試験は、Heuper(1959)によって行われたが、その中でRES sarcomasは、未処置ラットで11/200であった。本研究で、以前使用した同一分子量内のポビドン追加試料が実験された。データは、デキストランを含む他のポリマーと同様にポビドンの非経口投与に関連したRESsarcomasの発生が示唆された。研究は再度制限された程度内で調整された。どの群にも操作対照群はなかった。3番目の実験で、Heuper(1961)は,分子サイズを研究基準として強調した。彼はポビドンK-17(分子量2,000−38,000、主に5,000と15,000間で平均MW 10,000)およびポビドンK-25(主に分子量15,000と30,000の間、平均MW 1を用いた。(K-17およびK-25の平均分子量は、その形でそれ以前に報告された値よりもやや低かった。彼はまた、比較目的で、ラットに平均MW50,000の2種のポビドンを使用した。1種はGAFで、もう1種はBASFで製造された。被験物質は、約6-10週間にわたって分割量でラット腹腔内に投与された。最大生存は、ラット群で24ヶ月、ウサギ群で28ヶ月であった。(その時試験は、生存動物をと殺して終了した)。結果は次の通りであった。

動物種 ポビドンタイプ 総投与量 RES sarcomas Carcinomas
ラット K-17
K-25
50000(GAF)
50000(BASF)
対照
2g
2g
9g
9g
-
3/35
1/35
2/20
3/30
2/30
2/35
2/35
0/20
0/20
3/30
ウサギ K-17
K-25
対照
62.2g
62.2g
-
0/6
0/6
0/2
0/6
0/2
0/2

Heuperは、ウサギが糸球体で高分子をろ過できるので、ガンが少なかったのかも知れないと結論した。 


生殖発生毒性 (link to DART)
ポビドンK-25(平均分子量40,000以下)は、ラットで胎仔毒性を試験した。動物には、10%ポビドンK-25混餌食で投与した。被験物質含有食は、交配後0-20日に任意に与えた。すべての胎仔は、外見上の骨格奇形変化、および同腹当たりの胎仔の2/3の知能発達の遅延などを調べた。本試験では、組織の奇形、変化発達の遅延も調べた。被験物質を投与した妊娠ラットに臨床的に認められる毒性症状は何もなかった。ただ僅かにゆるい排便が認められた。試験したすべての他の母獣群にK-25投与に帰すべき変化特に妊娠障害など何も認められなかった(BASFc、1977)

類似の試験がポビドンK-90で行われた。動物に10%ポビドン含有食を与えた結果は、ポビドンK-25で認められた結果と質的にも量的にも同様であった。特別な催奇形性試験で、ポビドン(平均分子量11,500)を9日目のウサギ胎芽の卵黄嚢に注入(500mg/胎芽)したが、生理食塩水を注入した対照と比較して吸収や機能不全の数の増加はなかった(Claussen and Brauer, 1975) 11)


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
尿崩症の女性にポリビニルピロリドン・バソプレッシンを毎日6年間皮下注射したところ、丘疹状の皮膚病になった。ポリビニルピロリドンが生検試料中に検出された(La Chapelle, 1966) 12)

現在までに、皮下注射した男性に認められている慢性毒性作用は、200−1,000gの非経口量を3-12年間以上投与されたとき(La Chapelle, 1966)12)

一人の女性にポリビニルピロリドン含有薬を(Depot-Impletol)の注射をしたところ、胸部および上腹部に大きな異物体の肉芽ができた(Gille and Brandan, 1975)13)


参加文献
内閣府 添加物 database(2013年)  (link to 評価書)
小児(link to STEP database;要Login)

1) Scheffner, D., Torelance and side-effect of various Kollidones administered by mouth and their behavior in the gastrointestinal tract (translation from German), Doctor' thesis, University of Heidelberg, 1955
2) Angervall, I and Berntsson, S., Oral toxicity of polyvinylpyrrolidone products at low average molecular weight , J. Inst. Brewing, 67, 335-336 (1961)  
3) Burnette, L.W., A review of the physiological properties of PVP. Proceedings of the Scientific Section of the Toilet Goods Association, 38, 1-4 (1960)  
4) Shelanski, H.A., PVP K-30 14Csingle dose excretion study. Unpublished report from the Industrial Toxicology Laboratories. Submitted to the World Health Orgnization by BASF, (1953)   
5) Traenckner, K. , Experimental studies on periston storage in mitochondrial of renal tubuli. J, Ges. Exp. Med., 123, 101-103 (1954)
6) Shelanski, M.V., One year feeding study in dogs with plasdone, Unpublished report from the Industrial Toxicology Laboratories. Submitted to the World Health Orgnization by BASF, (1958)
7) Caechman, R.A., In vitro evaluation of PVP and PVP-1 fro mutagenicity and cell transformation capabilitiess。Unpublished report from the Medical College of Virginia, Richmond, VA. Submitted to the World Health Organization byGAF Corporation. Wayne,New Jersey, United States of America, 1979. 
8) Heuber, M.C., Experimental carcinogenic studies on water-soluble chemicals. T. Neoplastic ractions in rats and mice after parenteral introduction of polyvinylpyrrolidone, Cancer, 10, 8-18 (1957)  
9) Heuber, M.C., Ccarcinogenic studies on water-soluble and insoluble macroolecules。Arch. Path., 67, 589-617 (1959)
10) Heuber, M.C., Bioassay on polyvinylpyrrolidone with limited molecular weight range. J. Nat. Cancer Inst., 26, 228-237
11) Claussen, D. and Breuer, H.W., The teratogenic effcts in rabbits of doxycycline, dissolved in polyvinylpyrrolidone, injected into the yolk sac. Teratology, 12, 297-301 (1975)
12) La Chapelle, J.M., Thesaurismose cutanee par polyvinylpyrrolidone. Dermatologics (Basel), 132, 476-489 (1966) 
13) Gille, J. and Brabdau, H., Geburtsh U. Frauenheilk., 35, 799-801 (1975)






   



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