日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 パルミチン酸イソプロピル
英文名 Isopropyl Palmitate

CAS 142-91-6 (link to ChemIDplus)
別名 
収載公定書  薬添規(JPE2018) 外原規(2006)  USP/NF(28/23) EP(5)
用途 基剤,光沢化剤,溶剤,溶解補助剤


単回投与毒性 (link to ChemIDplus)

動物種

投与経路

LD50 (mg/kg体重)

文献

マウス

腹腔内

100

Lewis, R.J. 1)

ラット

経口

>5 mL/kg

ARMAK, 1972 2)
Bio-Toxicol. Lab., 1975 2)

経口

>8 mL/kg

KOLMAR Res. Center, 1977 2)

経口

>64 mL/kg

Bio-Toxicol. Lab., 1970 2)

ウサギ

経皮

>2.0 mL/kg

Bio-Toxicol. Lab., 1975 2)




反復投与毒性 (link to TOXLINE)
ウサギ
ウサギ3匹にパルミチン酸イソプロピル原液を剃毛した皮膚に80 cm2/kgを60日間塗布した。 その結果,肉眼的観察では耐薬性は良好{well tolerated)または皮膚肥厚あるいは一部で嚢胞を 伴う相対的に対薬性が良好(relatively well tolerated)でしたが、皮膚の病理組織学的検査では ,一部で皮膚の角化や肥厚が認められた。。2) (Guillot et al, 1977).


以下については該当文献なし
遺伝毒性
がん原性
生殖発生毒性


局所刺激性
ウサギ雌雄各3匹にパルミチン酸イソプロピル 2.0 mL/kgを剃毛した皮膚に24時間閉塞パッチを行った。その結果,紅斑,浮腫などは観察されず,投与後2週間変化はなかった。2)(Bio-Toxicol. Lab., 1975)

ウサギ雌雄各6匹にパルミチン酸イソプロピル0.5mL原液あるいは0.5gを健常皮膚,損傷皮膚に24時間閉塞パッチを行い,24時間目と72時間目に皮膚一次刺激性を評価した4試験が行われ,PII(皮膚一次刺激性インデックス)はそれぞれ,0.0,0.38,0.6,0.92であった。2) (Bio-Toxicol. Lab., 1975),2) (Hill Top Res., 1968),2) (ARMAK, 1972),2) (MB Res. Lab.,1977)

ウサギ9匹にパルミチン酸イソプロピル0.1mLを片方の眼結膜嚢に点眼した後,Draize法に従い,点眼後24,48,72時間目を評価した。 他眼は比較対照とした。
点眼後の非洗眼群,点眼後2秒後に微温油20mLで洗眼した群,点眼後4秒後に微温油20mLで洗眼した群,それぞれ3匹づつを用いて実施した結果,すべての評点は0.0でした。2) (Leberco Lab., 1975)

ウサギ6匹にパルミチン酸イソプロピル0.1mLを片方の眼結膜嚢に点眼した後,Draize法に従い,点眼後24,48,72時間目を評価した。 他眼は比較対照とした。点眼後は非洗眼としたが,OIIは0.0でした。2) (Bio-Toxicol. Lab., 1975)

ウサギ6匹にパルミチン酸イソプロピル0.1mLを片方の眼結膜嚢に点眼した後,Draize法に従い,点眼後24,48,72時間目を評価した。 他眼は比較対照とした。点眼24時間目のOIIは0.3(最大評点110),点眼48時間目,72時間目は0.0でした。2) (ARMAK, 1972)

ウサギ6匹にパルミチン酸イソプロピル0.1mLを片方の眼結膜嚢に点眼した後,Draize法に従い,点眼後24,48,72時間目を評価した。 他眼は比較対照とした。OIIは点眼24時間目で2.33,48時間目で0.67,72時間目で0.33でした。2) (Hill Top Res., 1968)

ウサギにパルミチン酸イソプロピル各4試料0.1mLを片方の眼結膜嚢に点眼した後,Draize法に従い,点眼後24,48,72時間目を評価した。 他眼は比較対照とした。OIIは点眼48時間目で3.33-6.50でした。2) (Guillot et al., 1977)


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
被験者20名にパルミチン酸イソプロピルの異なる2バッチを皮膚に24時間閉塞パッチを行い,刺激性を調べた。その結果,刺激性は認められず,評点は0.0でした。2) (CTFA, 1972)

被験者40名にパルミチン酸イソプロピルの異なる2バッチを皮膚に24時間閉塞パッチを行い,刺激性を調べた。その結果,1例で評点0.5を示す例がみられた。2) (CTFA, 1973)

被験者20名にパルミチン酸イソプロピルの異なる4バッチを皮膚に24時間閉塞パッチを行い,刺激性を調べた。その結果,4例で評点0.5を示す例がみられた。2) (CTFA, 1973)

被験者102名の男女でパルミチン酸イソプロピルの刺激性及び感作性についてDraiza-Shelanski感作パッチテスト法変法で調べた。投与は原液0.1 mLを不織布20X20mmに撒布して上背部に週3回3週間貼付した。貼付は24時間後には除去して反応を評点で評価(0-4)した。最後のパッチ適用後17日間目に24時間の誘発を行い,24,48時間目に誘発を評価した。2回目の投与で被験者3名にあきらかな紅斑が認められた。その多の被験者はすべての試験期間中評点は0.0であった。この結果から,パルミチン酸イソプロピルに感作性はないものとみなされた。2) (CTFA, 1976)

被験者24名で45.6%パルミチン酸イソプロピルを含む製剤(バスオイル)についてKlingmanマキシミゼーションテスト法変法で感作性を調べた。いずれのパッチも陰性であった。2) (Kligman, 1966, Kligman et al., 1975)

被験者10名で45.6%パルミチン酸イソプロピルを含む製剤(バスオイル)について光毒性を調べた。被験物質原液を5 μL/cm2に閉塞パッチで適用し,その後Xenon灯(25-30mW/cm2)で貼付6時間目と24時間目に照射した。その結果,光毒性は報告されていないことから,被験物質は通常の条件下では光毒性のリスクの可能性はないと判断した。2) (CTFA, 1974)

被験者25名に45.6%パルミチン酸イソプロピルを含む製剤(バスオイル)について光接触アレルギー性を調べた。被験物質原液を5 μL/cm2に週2回合計6回閉塞パッチを行った。各閉塞パッチ適用後24時間目にXenon灯(25-30mW/cm2)を照射した。光誘発は最終パッチ適用後10日間実施した。その結果,光接触アレルギーは報告されていないことから,通常の条件下では光接触アレルギーのリスクはないと判断された。2) (CTFA, 1974)


引用文献
1) Lewis, R.J.; Sax's Dangerous Properties of Industrial Materials. 9th ed. Volumes 1-3. New York, NY: Van Nostrand Reinhold, 1996., p. 1991
2) Anonymous, Final report on the safety assessment of octyl palmitate, cetyl palmitate and isopropyl palmitate, J. A. coll. Toxicol., 1982; 1: 13-35




   


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