日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 フェノール
英文名 Phenol

CAS 108-95-2 (link to ChemIDplus),  (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 石炭酸
収載公定書  局方(JP17), 外原規(2006) USP/NF(28/23)   EP(5.3)
用途 防腐剤,保存剤

JECFAの評価 (link to JECFA)
ADI(1日当たりの許容摂取量): Acceptable


単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
マウス 経口 300 mg/kg Von Oettingen et al., 1946 1)
マウス 経口 427 mg/kg Kostovetskii et al., 1971 1)
ラット 経口 340-530 mg/kg Deichmann et al., 1944 1)
ラット 経口 512 mg/kg Kostovetskii et al.,1)
ラット 経口 445-520 mg/kg Thompson et al.,1984 1)
ラット 経口 400 mg/kg Schlicht et al., 19921)
ラット 腹腔内 127-223 mg/kg Thompson et al., 19841)
ラット 経皮 670 mg/kg Conning et al., 1970, Brown et al., 1975 1)
ウサギ 経口 400-600 mg/kg Deichmann et al., 19441)
ウサギ 経皮 850 mg/kg Flickinger, 1976 1)
ウサギ 経皮 1400 mg/kg Vernot et al., 19771)



反復投与毒性 (link to TOXLINE)
マウス
マウス100例,ラット50例,サル10例に19 mg/m3を1日8時間,週5日間で90日間吸入曝露した。対照群は新鮮な空気を与えた。いずれの投与群にも死亡例はみられず,体重増加抑制は認められなかった。水泳などのストレス試験を実施しているときでも,有害な影響は統計学的にみられなかった。臨床化学検査,血液学的検査,尿検査項目にフェノール曝露による影響は認められなかった。ルーチンの組織学的検査は肝臓,肺,腎臓,脳,心臓について実施した。病理学的に変化のある動物は投与群にみられ,肝臓,腎臓であった。しかし,著者は毒性学的に意義ある病理組織学的検査所見,臨床検査所見は認められなかったと判断している。刺激性を調べるため上部気道系を検査したかどいうかは不明である。1) (Sandage, 1961)

マウス,ラットにフェノール10000,3000,1000,300,100,0 mg/Lの濃度で飲水に混入して13週間与えた。がん原性試験の用量設定試験として実施した結果,マウス,ラット共に10000 mg/L投与群では平均体重増加抑制が認められた。最高用量群のフェノール摂取量はマウスで2000 mg/kg,ラットで1000 mg/kgと見積もられた。1) (NCI, 1980)

CD-1マウス雄5例に95.2,19.5,4.7,0 mg/Lの濃度で飲水に混入して4週間与えた。最終日に脳の各部分について神経伝達物質及び代謝物を測定した。ノルアドレナリン濃度に最も影響を及ぼした部位は視床下部(高用量,中用量で,それぞれ40%,29%の有意な減少)で,ドパミンでは,線条体(高用量,中用量,低用量で,それぞれ35%,26%,21%の有意な減少)であった。視床下部の神経化学物質(ノルアドレナリン,ドパミン,バニリルマンデル酸(VMA),3,4-ジヒドロキシ酢酸(dopac),ホモバニリン酸(HVA),セロトニン(5-HT),5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA))の減少が用量に応じてみられたが,統計学的に有意差のないものも認められた。VMAの有意な減少が中脳,線条体,大脳皮質でみられ,5-HTの減少は中脳,線条体,延髄,dopacの減少は高用量群のみで小脳に認められた。視床下部における5-HT及び5-HIAAの有意な減少が高用量,中用量群でみられた。1) (Hsieh et al, 1992)

ラット
ラットにフェノール2400,2000,1600,1200,800,0 mg/Lの濃度で飲水に混入して12ヵ月間投与した結果,2000 mg/L以上の投与群で体重増加抑制が認められた。この濃度は200 mg/kg以上の連日投与と見積もられた。1) (Deichmann et al., 1940)

ラット,ウサギ,モルモットにフェノール100-200 mg/m3の濃度で1日7時間,週5日間吸入曝露した。ラットに74日間の投与では剖検,病理組織学的検査で障害を示唆する所見は認められなかった。ウサギは3ヵ月間投与で生存したが,剖検では肺,心臓に障害がみられ,肝臓,腎臓障害の徴候が認められた。モルモットは最も感受性の高い動物種であった。12例中5例が12日目の曝露後に死亡したため,残り7例を29日目の曝露後に屠殺した。死亡前に,モルモットは体重減少,呼吸困難,麻痺を示した。剖検では,急性の小葉性肺炎,脈管障害,肝腎障害が認められ,血中総フェノール(非抱合型,抱合型)濃度は14 mg/Lであった。ウサギも同様であったが,その徴候の程度は重度より軽かった。1)(Deichmann et al., 1944)

マウス100例,ラット50例,サル10例に19 mg/m3を1日8時間,週5日間で90日間吸入曝露した。1) (Sandage, 1961)

ラットにフェノール5.3,0.12,0.012 mg/m3を61日間持続的に吸入させた。その結果,0.012 mg/m3群では伸筋時値の短縮,血中コリンエステラーゼ活性の増加が認められた。1) (Mukhitov, 1964)

Fisher 344系ラット1群雌8例にフェノールを飲水で希釈して120,40,12,4,0 mg/kgを14日間連日経口投与した結果,最高用量群では初回投与後に振戦が明らかとなった。120mg/kg群では投与11日目までに全例が死亡した。瞳孔反射(縮瞳)の低下がいずれの投与群も最終投与後に認められ,縮瞳の頻度は40,12,4,0 mg/kg群でそれぞれ76%,62%,50%,100%を示した。自発運動への影響を投与4,9,14日目に調べたが,変化はみられなかった。40 mg/kg群では肝臓に変化は認められなかったが,8例中3例に腎臓血管の脂肪変性がみられた。12 mg/kg群では組織学的に変化は認められなかった。40 mg/kg群では,腎臓の病理組織学的変化として2例で腎乳頭に尿細管変性がみられ,1例では尿細管にタンパク円柱が認められた。病理の報告では,血管還流量の減少に付随した所見と記載されていた。1)(MacPhail, IPCSへの私信)

ラットにフェノール100 mg/m3を15日間継続的に吸入曝露した結果,傾斜面テストで中枢神経系に影響が認められた。血漿中カリウム,マグネシウム,乳酸脱水素酵素,アスパラギン酸トランスフェラーゼ,アラニンアミノトランスフェラーゼ,グルタミン酸脱水素酵素が上昇した。ヘモグロビン,ヘマトクリット,血漿ナトリウム,カルシウム,クロライドには変化が認められなかった。1) (Dalin et al., 1974)

ラットにフェノール100,50,10 mg/kgを20日間連日強制経口投与した結果,100 mg/kg群で肝臓と腎臓に軽度な変化がみられた。1) (Dow chemical company, 1976)

マウス,ラットにフェノール10000,3000,1000,300,100,0 mg/Lの濃度で飲水に混入して13週間与えた。1) (NCI, 1980)

モルモット
ラット,ウサギ,モルモットにフェノール100-200 mg/m3の濃度で1日7時間,週5日間吸入曝露した。結果については、2.2.2を参照。1)(Deichmann et al., 1944)

ウサギ
ウサギにフェノールを1.18-7.12%濃度に水で希釈して1日5時間,週5日間で18日間経皮投与(64-380 mg/kg相当)した結果,投与用量に応じた全身性の変化(振戦,死亡)が2.37%以上の群(130 mg/kg以上)で認められた。皮膚刺激性(充血,壊死)が3.56%以上の群(190 mg/kg以上)でみられた。この変化は投与局所を包帯で覆うと特に明らかとなった。1) (Deichmann et al., 1940)

ラット,ウサギ,モルモットにフェノール100-200 mg/m3の濃度で1日7時間,週5日間吸入曝露した。1)(Deichmann et al., 1944)

サル
マウス100例,ラット50例,サル10例に19 mg/m3を1日8時間,週5日間で90日間吸入曝露した。1)(Sandage, 1961)


遺伝毒性 (link to CCRIS),  (link to GENE-TOX)

試験

試験系

濃度

結果

文献

復帰突然変異

S. typhimurium TA100

直接法及び代謝活性化法0-500 ng/plate

陰性

Koike et al. 1988 1)

復帰突然変異

S. typhimurium TA98, TA100

1000倍濃度,直接法,代謝活性化法

陰性

Epler et al. 19 1)

復帰突然変異

S. typhimurium TA1535

直接法,0-100 µg/plate

陰性

Gilbert, 1980 1)

復帰突然変異

S. typhimurium TA1538

直接法,0-50 µg/plate

陰性

Gilbert, 1980 1)

復帰突然変異

S. typhimurium TA98,TA100, TA1535, TA1537

直接法,代謝活性化法,0-3333 µg/plate

陰性

Haworth et al. 1983 1)

復帰突然変異

S. typhimurium TA98,TA100,TA1535,TA1537, TA1538

直接法,代謝活性化法,0.5-5000 µg/plate

陰性

Pool et al. 1982 1)

復帰突然変異

S. typhimurium TA100

直接法,0.1-1000 µg/plate

陰性

Rapson et al. 19 1)

復帰突然変異

S. typhimurium TA98

直接法,代謝活性化法,0.1-100 µg/plate

陰性

Wild et al. 1980 1)

染色体異常
(in vitro)

チャイニーズハムスター由来CHO-WBL細胞

直接法,500-800 µg/mL

陰性

Ivett et al. 1989 1)

代謝活性化法2000-3000 µg/mL

陽性

正突然変異
(in vitro)

チャイニーズハムスター由来V79細胞

代謝活性化法0-500 µg/mL

陽性

Pasin et al. 1982 1)

姉妹染色体分体
(in vitro)

チャイニーズハムスター由来CHO-WBL細胞

直接法,300-400 µg/mL,

陽性

Ivett et al. 1989 1)

2000-3000 µg/mL,代謝活性化法

陽性

細胞間通信
(in vitro)

チャイニーズハムスター由来V79細胞

250 µg/mL,直接法

陰性

Malcolm et al. 1985 1)

細胞間通信
(in vitro)

チャイニーズハムスター由来V79細胞

10-75 µg/mL,直接法

陰性

Bohrman et al. 1988 1)

正突然変異
(in vitro)

マウスL5178Y細胞

180-890 µg/mL,直接法

陽性

Wangenheim et al, 1988 1)

5.6-41 µg/mL,代謝活性化法

陽性

DNA合成阻害
(in vitro)

マウスL5178Y細胞

9.4-940 µg/mL,直接法

陽性

Pellack-Walker et al. 1985 1)

ストランド切断
(in vitro)

マウスL5178Y細胞

16-470 µg/mL,直接法

陰性

Garberg et al. 1988 1)

16-470 µg/mL,代謝活性化法

陽性

ストランド切断
(in vitro)

マウスL5178Y細胞

94 µg/mL,直接法

陰性

Pellack-Walker et al. 1986 1)

姉妹染色体分体
(in vitro)

ヒトTリンパ球細胞

0.47-282 µg/mL,直接法

陽性

Erexson et al.1985 1)

姉妹染色体分体
(in vitro)

ヒト リンパ球細胞

188 µg/mL,直接法

陰性

Jansson et al. 1986 1)

姉妹染色体分体
(in vitro)

ヒトTリンパ球細胞

1.7-470 µg/mL,代謝活性化法

陽性

Morimoto et al. 1980 1)

姉妹染色体分体
(in vitro)

ヒトTリンパ球細胞

282 µg/mL,代謝活性化法

陽性

Morimoto et al. 1983 1)

DNA修復
(in vitro)

ヒト線維芽細胞

0.094-9400 µg/mL

陽性

Poirier et al. 1975 1)

DNA合成阻害
(in vitro)

HeLa細胞

188 µg/mL,代謝活性化法

陽性

Painter et al. 1982 1)

DNA合成阻害
(in vitro)

ヒトWI-38細胞

0.094-9400 µg/mL

陽性

Poirier et al. 1975 1)

小核
(in vivo)

マウス骨髄細胞

265 mg/kg,経口

陽性

Ciranni et al. 1988 1)

小核
(in vivo)

マウス母体の骨髄細胞,胎児肝細胞

妊娠13日目,265 mg/kg,経口

陽性

Ciranni et al. 1988 1)

小核
(in vivo)

マウス骨髄細胞

250 mg/kg,経口

陰性

Gad-El Karim et al. 1986 1)

小核
(in vivo)

マウス骨髄細胞

265 mg/kg,腹腔内

陽性

Ciranni et al. 1988 1)

小核
(in vivo)

マウス骨髄細胞

40, 80 or 160 mg/kg,腹腔内

陰性

Barale et al. 1990 1)

小核
(in vivo)

マウス骨髄細胞

47, 94 or 188 mg/kg,腹腔内

陰性

Gocke et al. 1981 1)

精子形成における染色体異常
(in vivo)

マウス精母細胞

2 ml of 0.08, 0.8 or 8 mg/L,経口,連日5世代

陽性

Bulsiewicz, 1977 1)

染色体異常
(in vivo)

ラット骨髄細胞

72-180 mg/kg,腹腔内
300-510 mg/kg
,経口

陰性

Thompson et al. 1984 1)





がん原性 (link to CCRIS)
以下に示すフェノールのがん原性試験成績からは,IARC(1989)はがん原性を評価するには適切ではないと考えている。また,US EPAではフェノールはグループD(がん原性を評価するには充分な資料がない)に分類されている。

B6C3F1マウス1群雌雄各50例にフェノールを5000,2500,0 mg/Lの濃度で飲水に混入して103週間与えた。対照群雌雄各50例には市水を与えた。いずれの投与群も体重増加,飲水量の減少が用量に応じて減少した。5000 mg/L群では,子宮内膜間質ポリープの増加(48例中5例)がみられた(対照群は50例中1例)。悪性腫瘍の増加は認められなかった。その他の腫瘍はこの種の年齢では通常認められる頻度,種類のものであった。1)(NCI, 1980)

Fisher 344系ラット1群雌雄各50例にフェノールを5000,2500,0 mg/Lの濃度で飲水に混入して103週間与えた。対照群雌雄各50例には市水を与えた。5000 mg/L群では,投与20週目から平均体重の減少がみられた。低用量群雄では,褐色細胞腫,白血病,リンパ腫,C細胞甲状腺癌の有意な増加が認められた。1)(NCI, 1980)
NTPは,腫瘍の用量相関性がないこと,雌で同種の腫瘍増加が認められないことから,がん原性は陰性と判断した。

ICR/Ha Swissマウスにフェノール3 mgをアセトンに溶解して週3回,52週間吸入投与した。なお,誘発はDMBA150 μgで実施後,投与を行った。その結果,乳頭腫がDMBA単独群と比較してフェノール群では増加した。1)(Van Duuren et al., 1968; Van Duuren et al. , 1976) 上記成績はフェノールの誘発性報告した以前の報告とも一致する。1)(Boutwell et al., 1955, 1956; Salamon et al., 1957; Boutwell et al., 1959; Wynder et al., 1961)

ICR/Ha Swissマウスにフェノール3 mgをアセトンに溶解して週3回,460日間吸入投与した。なお,誘発は軽度なプロモーターbenzo[a]pyrene 5 μgで実施後に投与を行った。benzo[a]pyrene単独群と比較してフェノールとの同時投与群では癌腫の一部では発現が減少した。1)(Van Duuren et al., 1971, 1973; Van Duuren et al., 1976)


生殖発生毒性 (link to DART)




局所刺激性
マウスを用いて感覚刺激性をAlarie assay法で行った結果,呼吸数50%減少値(RD50)は638 mg/m3であった。1)(De Ceaurriz et al., 1981)

ラットを用いて眼粘膜及び鼻粘膜刺激性を調べた結果,906mg/m3を8時間吸入により振戦,協調運動障害が認められた。1)(Flickeinger, 1976)


その他の毒性
抗原性
CD-1マウスにフェノール19 mg/m3(5 ppm)を単回3時間及び連日5日間吸入する群を設けた。その結果,ストレプトコッカス エアゾール感染症,肺の細菌感染への感受性に影響はなかった。1)(Aranyi et al., 1986)

CD-1マウスにフェノール95.2,19.5,4.7,0 mg/Lを飲水に混入して4週間投与した。血液学的,免疫学的検査を試験終了時に実施した。その結果,対照群と比較して,赤血球数の減少が投与用量に応じて,いずれの群でも認められたが,白血球数,白血球分画には影響はみられなかった。脾臓の総細胞密度の減少が用量に応じてみられたが,統計学的には有意差はなかった。高用量群では,B細胞,T細胞分裂促進剤,B細胞及びT細胞分裂促進剤ヤマゴボウによる培養脾臓リンパ球増殖を抑制したが,コンカバナチンでは認められなかった。高用量,中用量群では,T細胞依存抗原(ヒツジ赤血球など)に対する抗体産生を抑制した。1)(Hsieh et al., 1992)


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
誤用
フェノール4.8 gを誤飲して10分以内に死亡した。1)(Andersen, 1869)

フェノール生理食塩液希釈液56.7 gを誤飲しても特に問題はなかった。1)(Leider et al., 1961)

フェノール(88%)57 g過剰投与例では生存したが,重度な胃消化管障害(刺激性)がみられ,同様に予想される心血管機能,呼吸機能への影響が認められた。1)(Bennett et al., 1950)

米国1974年ウイスコンシンで起きたフェノールの重度な流出事故では,地下水に流入し,飲料水に影響を与えた。約1ヵ月後,流出事故現場近くの住民が重度な健康被害を訴えた。流出事故6ヵ月後,フェノール汚染飲料水を飲んだ100名から治療記録を収集した(著者は一人あたりフェノール10-240 mgを連日摂取したものと推定した)。統計学的に有意な増加としては,下痢,口のびらん,暗色尿,口の焼けが認められ,平均2ヵ月続いた。最初の被爆後6ヶ月目には理学的検査,臨床検査で意義ある異常は認められなかった。尿中のフェノール濃度は上昇なかった。1)(Delfino et al., 1976; Baker et al., 1978)

英国ノースウェールズの川でフェノール汚染が起こり,飲料水に影響を及ぼした。飲料水は塩素処理をされた際,種々のクロロフェノールが生成した。汚染された飲料水を飲用した344家族及び250対照家族に郵便によるアンケートを行った。その結果,汚染していない地域に比べて汚染された地域では胃消化管などの障害が有意に増加した。フェノール濃度は数日間少なく見積もっても4.7-10.3 μg/Lであったと推察された。1)(Jarvis et al., 1985)

重度な特発性新生児非抱合型高ビリルビン血症が病院で発生し,育児器具,床,壁の消毒のためフェノールを含む消毒薬を用いたためと判明した。消毒薬を使用しないときには,発生は治まった。1)(Daum et al., 1976; Wysowski et al., 1978; Doan et al., 1979)

その他
被検者24名を用いてフェノールのKlingmanマキシミゼーション試験を実施した結果,感作性は認められなかった。1)(Klingman, 1966)

化学物質に感受性の高い患者134名(血中に揮発性有機化学物質が検出)にフェノール0.008 mg/m3を誘発曝露させた結果,107名(80%)に悪影響がみられた。「感受性の高い患者」,「有害事象」という分類に入るものではなかった。この所見毒性学的な意義はあきらかではない。1)(Rea et al., 1987)

暗順応した被検者3名にフェノール0.015mg/m3を5分間6回吸入曝露させた結果,光に対する感受性が増加した。1)(Mukhitov, 1964)




引用文献
1) IPCS Environmental Health Criteria 161 Phenol.  (link to WHO DB)




   



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