日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 エリソルビン酸ナトリウム水和物
英文名 Sodium Erythorbate

CAS 6381-77-7(無水物)  (link to ChemIDplus)

別名 イソアスコルビン酸ナトリウム, Sodium isoascorbate, Sodium salt of 2,3- didehydro-D-erythro-hexono-1,4-lactone
収載公定書  薬添規(JPE2018), 食添(JSFA-IX
用途 安定(化)剤、懸濁(化)剤

JECFAの評価 (link to JECFA)
各種の実験動物、微生物等における毒性試験等にもとづいて、一日許容摂取量(ADI)は特定しない。1) (第37回会議, 1990)


単回投与毒性  (link to ChemIDplus)
エリソルビン酸も参照。


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
マウス
マウス10週間反復投与試験:1群10匹の8週令B6C3F1雌マウスに、エリソルビン酸ナトリウムを0, 0.625, 1.25, 2.5, 5, 若しくは10%含む飲水を10週間与えた。投与終了後全ての生存動物をと殺、解剖し主要内蔵臓器につき病理組織検査した。5%雄群の平均体重増は対照群の90%以下であったが、同雌群は対象群より高く、最大許容量(MTDは雄、雌それぞれ2.5、5%であった。同最大許容量以上の濃度を与えた動物の臓器を組織学的に検査した結果、肝臓細胞の顕著な萎縮、脾臓リンパ節の顕著な萎縮と腎小管上皮の水疱が認められた。対象群及びMTD若しくはそれ以下の濃度群動物ではこれら変化は認められなかった。なお、本試験では処理群の飲水中のナトリウムイオンに対する対照は設けられていない。1) (1、Inai et al,1989)

ラット
ラット13週間反復投与試験:1群10匹のF344/DuCrj雌雄ラットに、エリソルビン酸ナトリウムを0, 0.625, 1.25, 2.5, 5, 若しくは10%含む飲水を13週間与えた。10%投与群動物は全て飲水を摂ることなく、2 - 5週で死亡した。5%投与雄群動物の3匹、同雄群動物の1匹が投与開始後4日内に死亡下。2.5%投与群動物は全て投与終了まで生残した。増体重は、飲水中2.5%投与群は雄で12%、雌で6%対照群より抑制された。1) (1、Abe et al,1984)


遺伝毒性  (link to GENE-TOX)
Ames試験、染色体異常試験において陰性であった。


がん原性 (link to CCRIS)
長期毒性・がん原性
マウス
マウス長期毒性・癌原性試験:1群50匹のB6C3F1雄マウスに、エリソルビン酸ナトリウムを0, 1.25、若しくは2.5%(MTD)含む飲水を、また、雌マウスには同上物質を0, 2.5.若しくは5%(MTD)含む飲水を8週令から96週間与え、次いで通常の飲水を14週間与えた。試験動物は定期的に体重を測定し、飼育途中で死亡若しくは瀕死状態の動物は解剖した。飼育期間終了後全ての動物をと殺、解剖した。全ての内蔵及び腫瘍は重量を測定し、剖検及び組織学的検査を行った。検体投与群動物の平均体重は対照群と全般的に同等であったが、試験終了時点の体重は用量依存的に検体投与群で増加し、連動して心臓、肺、腎臓、及び脳の相対重量は低下した。肝臓、造血器官、肺、外皮組織を含め様々な部位で腫瘍が認められたが、頻度及び腫瘍原因で死亡に到る期間が、対照群に比べて投与群が有意に高い部位はなかった。エリソルビン酸ナトリウムはB6C3F1マウスへの経口投与で腫瘍誘発性はないものと結論される。1)Inai et al, 1989)

ラット
ラット104週間反復投与試験:雄、雌それぞれ1群52匹、50匹のF344/DuCrjラットに、エリソルビン酸ナトリウムを0, 1.25若しくは2.5%含む飲水を8週令から104週間与え、次いで通常の飲水を8週間与え、飼育を終了した。全てのラットを剖検し、主要臓器、病変(詳細情報掲載なし)について病理組織検査した。2.5%投与群は両性とも40週から90週までの体重増が抑制され、対照群に比べての不足量は雄、第88週において8.5%、雌、第85週において15.5%であった。1.25%投与群では体重増の抑制はなかった。投与群における検体の総摂取量は、雄の1.25%、2.5%投与群においてそれぞれ217g/ラット、430g/ラット;雌の1.25%、2.5%投与群においてそれぞれ206g/ラット、583g/ラットであった。試験期間生残動物数の割合は60%から82%、腫瘍を認めた動物の平均寿命は3群間で同等であった:即ち、雄の対照群, 1.25%、2.5%群でそれぞれ117週、114週、111週、雌ではそれぞれ114週、113週、113週であった。高用量群の2匹を除いて雄動物では、精巣の間質細胞腫が認められた(本ラット系統株に特徴)。雄動物における他の腫瘍の頻度は対照群、1.25%、2.5%群で、それぞれ80%、69%、78%で、白血病、好クローム細胞腫、乳腺線維線腫、及び中皮腫(mesothelima)が6 - 18%と、比較的多かった。雌動物における腫瘍頻度は対照群、1.25%、2.5%群で、それぞれ94%、88%、78%であり、高投与群の頻度は対照群より有意に低く、腫瘍の種類は3群間で同様であった。投与に基因する腫瘍の誘発若しくは良性腫瘍から悪性腫瘍への変移(transformation)はなく、エリソルビン酸ナトリウムはF344ラットで発がん性はない、と結論されている。1) (Abe et al,1984)


生殖発生毒性 (link to DART)
ラット
ラット妊娠期催奇形性試験: Wistarラットにエリソルビン酸ナトリウムを0、 0.05%、 0.5%、 若しくは5%含む餌を妊娠7日から14日まで与えた。妊娠20日目にそれぞれの群の母動物5-7匹をと殺し、胎児の催奇形性を調べた。外表異常を記録し、同腹胎児の半数について骨格異常を調べた。残りの半数胎児はBoouin液で固定し、軟組織(soft tissue、内蔵?)異常をWilson法で調べた。別に、それぞれの群の5匹の母動物を分娩させ生存児数及び死産児数を記録した。同腹の小動物数は雄・雌それぞれ4匹に標準化し、新生児の生育を離乳まで10週間さらに飼育した。離乳後母動物をと殺し、着床残遺物数を数えた。妊娠中母動物の増体重の異常、毒性の兆候が認められた母動物はなかった。投与群と対照群間で、子宮内胎児死亡数、母動物当たりの生存胎児数、胎児性別比、胎児体重若しくは胎盤重量の有意差はなかった。投与母動物群からの新生児の外表、骨格、軟組織検査で催奇形性はなく、又、生後発達は正常であった。1)Ema et al., 1985)

ラット妊娠期催奇形性試験:Wistarラットにエリソルビン酸ナトリウムを0、 9.0、 41.8、 194若しくは900mg/kg体重で妊娠6日から10日まで経口投与した。投与群と対照群間で着床率、出産生存児数に差はなく、又、外表、骨格及び軟組織の形態異常は認めなかった。1) (Food and Drug Research Laboratories, 1974)


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
Effect on bone mineralization
Collagen and elastin synthesis in vivo
Effect on bioavailability and toxicity of metals
Interactions between erythorbic acid ascorbic acid
Nitrosation in vivo
Tumor promotion


ヒトにおける知見 (link to HSDB)


引用文献
1) WHO Food Additive Series No.28 Erysorbic acid and its sodium salt 1991 (accessed: Oct. 2004 , link to WHO DB
)
708. Erythorbic acid and its sodium salt (WHO Food Additives Series 28)  (link to WHO DB)

Int. J. Toxicol.1999; 18(3) suppl.  (link to the Journal)

Abbreviation

ChemIDplus; ChemIDplus DB in TOXNET, CCRIS;Chemical Carcinogenesis Research Information System , DART; Developmental Toxicology Literature

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