日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 安息香酸ナトリウム
英文名 Sodium Benzoate

CAS 532-32-1   (link to TOXNET DB)
別名 
収載公定書  JP(15) 食添(7)  USP/NF(28/23)  EP(5)  USP/NF(28/23)
用途 安定(化)剤,可溶(化)剤,緩衝剤,防腐剤,保存剤,溶解補助剤

最大使用量
経口投与 2200mg、静脈内注射 40mg(点滴)、筋肉内注射 20mg、皮内注射 0.06mg、その他の注射 0.3mg、一般外用剤 5mg/g、歯科外用及び口中用 0.7mg/g、眼科用剤 0.2mg/mL


JECFAの評価 (link to JECFA)
ラットにおける無毒性量は混餌投与で1%(10.000ppm)であり、これは 500mg/kg bwに相当する。ヒトの一日摂取許容量(ADI)は0−5mg/kgbwである。
安息香酸及びそのナトリウム、カリウム、カルシウム塩の合計として表す【安息香酸】も参照のこと


単回投与毒性   (link to TOXNET DB)

動物種

投与経路

LD50(mg/kg体重)

文献

ラット

経口(Na塩)

2.700mg/kg

Deuel et al., 1954 1)

ラット

静脈(Na塩)

1.714mg/kg±124

Spector, 1956 1)

ウサギ

経口(Na塩)

2.000mg/kg

Spector, 1956 1)

ウサギ

皮下(Na塩)

2.000mg/kg

Spector, 1956 1)

イヌ

経口(Na塩)

2.000mg/kg

Spector, 1956 1)

ラット

経口(フリー)

2.000-2.500mg/kg

Ignatev, 1965 1)




反復投与毒性 (link to TOXLINE)

マウス
マウスに3gの安息香酸ナトリウムを10日間給餌したところ、グリシンプール(Glycine pool)の枯渇によると思われるクレアチン産生の減少がみられた。1) (Polonowski & Boy, 1941)

1群雌雄50匹のマウスに、80mg/kg/dayの安息香酸、160mg/kg/dayの安息香酸ナトリウム及びその両者(用量は同じ)を胃管により経口投与した。両者投与群では体重減少が観察され、死亡率は最も高かった2.5ヶ月目に5日間食事制限を行うと双方の群で死亡率は85%になった。1) (Shtenberg & Ignatev, 1970)

ラット
1群雌雄各5匹のラットに、16-1090mg/kgの用量の安息香酸ナトリウムを30日間供餌した。体重、食欲、死亡率に影響は見られず、臓器に組織学的変化も見られなかった。1) (Smyth & Carpenter, 1948)

1群雌雄3匹のラットに、安息香酸ナトリウムの0、2又は5%の混餌飼料を28日間与えた。5%群では最初の2週間で、超興奮性、尿失禁及び痙攣を来たし全例死亡した。2%群では雌雄ともに摂餌量が減少し、雄では体重減少がみられた。1)Fanelli & Halliday, 1963)

1群15匹のラットに、安息香酸ナトリウムを0また5%若しくは5%の安息香酸ナトリウム+1%のグリシンを混入した餌を3週間給餌した。5%群では体重の減少が見られたが、その程度は1%のグリシン投与により軽減された。肝のコレステロール含量は変化しなかったが、リン脂質は5%群で有意に低下した。同群では骨格筋のカリウム濃度も低かった。グリシンはこれらのカリウム及びリン脂質の低下を是正した。1)Kowalewski, 1960)

1群4-19匹の雄ラットに、0、1.5、2.0、2.5、3、3.25及び3.75%の安息香酸ナトリウム を含む餌を40日間与えた。対照群に比べ全投与群では成長は鈍化し、3%以上の投与群では死亡率は高く、食餌効率は悪化して成長は極めて抑制された。グリシンの添加はこれらの毒性を軽減化した。死亡例では運動失調、震顫及び痙攣を伴って死亡し、眼には重篤な炎症が見られた。1群10-15匹の幼弱ラットでの安息香酸ナトリウム0、1.5、2.0、2.5又は3%を含む別の混餌実験では、3%投与群では体重増加に変化は見られなかった?。グリシン添加はこの体重減少をも改善した。1) (Griffith, 1960)

1群雌雄10匹のラットに、0、0.5、1、2、4及び8%の安息香酸ナトリウムを含む餌を6週間与えた。8%投与群の全例及び4%投与群の19例は、投与4週間以内に死亡した。投与6週後の生存例は2、1及び0.5%投与群で、夫々19、18及び17匹であった。4%以上の投与群では体重減少が著明であった。投与群では急性毒性所見として感受性亢進が見られたが、痙攣、その他の症状は観察されなかった。4%及び8%投与群の死亡例の剖検所見では、脾及びリンパ節の萎縮を除き形態学的な異常は認められなかった。生存例においても形態学的な異常は見られなかった。1)Sodemoto & Enomoto, 1980)

1群8-10匹のラットに、1、2、4および8%の安息香酸ナトリウム含有飼料供与で90日間の試験を行った。8%投与群では平均13日で4匹が死亡した。生存例4匹の体重増加は同じ摂餌量で対照群の2/3であった。腎、肝重量は対照群に比し有意に高かった。低用量群では明らかな影響は見られなかった。1) (Deuel et al., 1954)

28匹の幼弱ラットに5%の安息香酸ナトリウムを含有する餌を3週間与えた。19匹が2週以内に死亡した。摂餌量は有意に減少し、殆どの動物が激しい下痢を呈した。剖検所見では、腸管出血と鼻出血塊が見られたが、尿は正常であった。同様の飼料を与えた5匹の成獣ラットも5週間以内に著しい体重減少を伴って死亡した。1)Kieckebusch & Lang, 1960)

モルモット
1群4匹のモルモットに、150mg/kgの安息香酸塩+安息香酸を毎日65日まで与えた結果、有害作用は認められなかった。同用量が壊血病の動物に給餌された場合には、寿命の短縮が認められた。1)(Kluge, 1913)


遺伝毒性 (link to CCRIS) ,  (link to GENE-TOX)
0.05x102-5x104 ppm濃度の安息香酸ナトリウムはソラマメの根の分裂細胞に対し影響を与えた。最も著明な変化はDNA合成の抑制及び分裂後期のbridge、小核誘発であった。1)Njagi & Gopalan, 1982)

安息香酸ナトリウムは、in vitro変異原性試験でラット細胞に染色体異常を生じ、また復帰変異試験(REC assay)で陽性を示した。サルモネラ菌を用いたエームス試験では陰性であった。1)(Kawachi,1975,cited by Sodemoto & Enomoto, 1980)


がん原性
1群雄50匹と雌52匹からなるF-344系ラット(4-5週齢)に安息香酸ナトリウムを1又は2%含有する飼料 (夫々500mg/kg/日又は1000mg/kg/日に相当)を18-24ヶ月間与えた。対照群には雄25匹、雌43匹を用い、基礎飼料を与えた。飼料は過剰摂取を避けるために適切に制限し、水は自由に与えた。生存動物はすべて18-25ヶ月の間に殺処分した。死亡例および殺処分例の全てを剖検し、各種の器官及び組織を病理組織学的に検査した。処置動物には被検物に直接関連する有害な臨床所見は見られなかった。平均体重および死亡率における投与、対照群間の差は無視できるものであった。腫瘍発現には雌雄の投与、対照群間に変動が見られたが、投与群に発現した腫瘍は、対照群のそれとタイプ及び発生数が類似していた。ラットでは安息香酸ナトリウムによる発癌性の証拠は見出せなかった。1)Sodemoto & Enomoto, 1980)。


生殖発生毒性  (link to DART)
ラット
ラット(群毎の数不明)に安息香酸ナトリウムの100、315及び1000mg/kgの用量を妊娠9-11又は12-14日の間、腹腔内投与した。対照群には処置動物と同日に90又は100mg/kgの塩化ナトリウムを投与した。1000mg/kg群では、両処置期間共に子宮内死亡の増加及び胎児体重の減少が見られた。9-11日間投与群の胎児は肉眼的に異常を示したが、そのタイプや頻度は明らかにされていない。1) (Minor & Becker, 1971)

ニワトリ
孵卵4日目に卵の気室に5mg/eggの大量の安息香酸ナトリウムを注入したが、奇形誘発作用は生じなかった。1)Verrett et al., 1980)


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
ヒトよっては5.7gの安息香酸ナトリウムは著明な消化管障害を起こす(Meissner & Shepard, 1866)1) が、一方25-40gに耐えるとの報告もある(Bignami, 1924)1)。 悪影響なく、1日量として12gまでが治療に使われているが(Seenator, 1879)1)。同じ量を5日間以上与えたヒトの30%には胸焼けと食欲不振を生じたとの報告もある(Waldo et al., 1949)1)。 ヒトでの急性毒性は容易に回復する。その作用はおそらく何らかの組織障害に関連するというよりも酸―塩基平衡の乱れによるものであろう。1) (Barnes, 1959)

喘息、鼻炎、蕁麻疹の患者の中には、安息香酸塩を含む食事あるいは飲み物の摂取後に症状が増悪化したとの報告がある。1) (Freeddman, 1977)

この項は食品・医薬品共用添加物の安全性研究の費用による研究である


引用文献
1) WHO Food Additives Series 18, 1983 BENZOIC ACID AND ITS CALCIUM, POTASSIUM AND SODIUM SALTS; link to WHO DB)
1) WHO Food Additives Series
26, 2000 BENZOIC ACID AND SODIUM BENZOATE; link to WHO DB)

Abbreviation   
TOXNET DB; ChemIDplus DB in TOXNET, CCRIS;Chemical Carcinogenesis Research Information System , DART; Developmental Toxicology Literature


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