日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 エチレンカーボネート
英文名 Ethylene Carbonate

CAS 96-49-1 (link to ChemIDplus)
別名 Carbonic acid, cyclic ethylene ester (6Cl, 8Cl); Cyclic ethylene carbonate; Ethylene glycol carbonate; Glycol carbonate
収載公定書  薬添規(JPE2018)
用途 基剤

単回投与毒性 (link to ChemIDplus)

動物種

投与経路

LD50(mg/kg体重)

文献

ラット

経口

10 g/kg

UCDS, 19711), Lewis, 1996 2)

ウサギ

経皮

> 3 g/kg

EPASR, 年代不明3)




反復投与毒性 (link to TOXLINE)
 

遺伝毒性 (link to CCRIS)


がん原性 (link to CCRIS)
多岐にわたって使用されている14種類の化合物の経口投与による発癌性を検討するため、雌雄のチャールズリバーCDラットを用いた試験を行った。本試験において、陽性コントロールであるN-2-fluorenylacetamideに加えて、propane sulton, propylenimineおよびethylenethioureaに発癌性が認められた。Avadex, bis(2-chloroethyl) ether, K bis(2-hydroxyethyl)dithiocarbamate, ethylene carbonateおよびsemicarbazide-HClには発癌性が認められなかった。Dithioovamide, glycerol α-monochlorohydrinおよびthiosemicarbazideについては、毒性量である高用量を投与したにもかかわらず、それらの発癌性はやや不明瞭であった。NaN3, Na bisulfideおよびvinylene carbonateを投与された動物の生存数は不適切であり、あるいは、最大の試験感受性を得るべく十分な高用量の試験化合物が投与されなかった可能性が考えられた。しかし、本試験においてこれら3化合物に発癌性の徴候は認められなかった。4) (Weisburger, 1981)


生殖発生毒性
ラット
1, 3-Dioxolan-2-one (Ethylene carbonate, CAS # 96-49-1)
の催奇形性を評価するために、0 (脱イオン水投与コントロール群)および750, 1500, 3000 mg/kg/dayethylene carbonateを、妊娠日6日目から15日目の108匹のSDラット(1群27)へ経口投与した。投与過誤のため、1500および3000 mg/kg/day投与群のラットがそれぞれ一匹ずつ死亡した。ethylene carbonate投与による毒性所見として、7501500および3000 mg/kg/day投与群において流涎、1500 mg/kg/day投与群において血涙症、1500および3000 mg/kg/day投与群において呼吸困難、3000 mg/kg/day投与群において脱毛症、筋緊張度の低下、活動性の低下および呼吸困難が認められた。3000 mg/kg/day投与群において、平均体重増加量が生物学的に有意に抑制されたが、摂餌量に影響は認められなかった。妊娠日20日目において、ラットは1匹当たり少なくとも24から26匹の胎仔を妊娠しており、1群当たり337から382匹の胎仔になるが、胎児死亡率、妊娠動物数、着床部位数、生存胎仔数、死亡胎仔数、早期及び後期流産、黄体、胎仔の性別比、着床前・後での喪失数および比率については、薬物投与群とコントロール群間に統計学的な有意差は認められなかった( p5) (Texaco Inc, 1991


局所刺激性
ウサギ 経皮  660 mg/kg 中等度の刺激作用   UCDS, 19711


その他の毒性
エチレンカーボネートはエチレングリコールに代謝されて毒性を発揮するか否かについて、ラットを用いて以下の実験を行った。In vitroにおいて、エチレンカーボネートは加水分解されない。給餌の際に、200 mg/kgC14で標識したエチレンカーボネート又は141 mg/kgC14で標識したエチレングリコールを344匹の雄性Fischerラットへ投与した。In vivoにおいて、上記の量のエチレンカーボネートをラットへ投与すると素早く代謝され、投与3時間後においてその60%が呼気においてCO2として、また27%が尿中に検出された。上記の量のエチレングリコールをラットへ投与すると、投与24時間後においてその90%が呼気または尿中に排泄された。エチレングリコールはエチレンカーボネートの代謝物として唯一検出された。上記の量のエチレンカーボネートをラットへ投与した後、エチレンカーボネートとエチレングリコールのCmaxは、それぞれ0.028 μmol/gおよび2.3μmol/gであった。エチレンカーボネートとエチレングリコールのt1/2は、それぞれ0.25 hおよび2 hであった。上記の量のエチレングリコールをラットへ投与した後、エチレングリコールのCmax1.1μmol/gであり、t1/2は、3 hであった。以上の結果より、in vivoにおいてエチレンカーボネートはエチレングリコールへ迅速に代謝されることが明らかとなった。エチレンカーボネートを経口投与した後に生じる全身性の毒性は、おそらくエチレングリコールへ変換されたために生じると考えられている。同僚による再調査が実施された。6)Hanley et al, 1989


ヒトにおける知見 (linke to HSDB)
健康に及ぼす作用:
吸入:急性曝露時には、咽喉痛および咳を伴った呼吸器系の刺激症状を生じる可能性がある。当該化合物の濃縮蒸気をラットへ8時間曝露しても、死亡は認められなかった。慢性曝露時には、鼻、喉、肺に慢性的な刺激症状が生じる可能性がある。7)MSDS-OHS

皮膚接触:
急性曝露時には、軽度の刺激症状を生じる可能性がある。ヒトに40%の当該水溶液を皮膚へ急性曝露したときに、感作あるいは刺激症状は報告されていない。ウサギへ慢性曝露(反復投与)したときには、影響が認められなかった。7)MSDS-OHS

眼球への接触:ウサギへ急性曝露することにより、中等度の結膜刺激症状及びわずかな角膜障害が生じると報告されている。慢性曝露(反復あるいは長期曝露)したときには、結膜炎が生じる可能性がある。7)MSDS-OHS

摂取:急性曝露時には、腹痛、悪心、嘔吐、消化管刺激症状および下痢を生じる可能性がある。エチレンカーボネートはエチレングリコールに代謝されて、中枢神経抑制、悪心、アシドーシス、腎不全、呼吸停止および心血管虚脱などの作用が生じる可能性がある。動物実験において、慢性曝露したときには、腎臓および肝臓に障害が生じたと報告されている。7) MSDS-OHS


引用文献
1) UCDS: Union Carbide Data Sheet (Union carbide Corp., 39 Old Ridgebury Rd., Danbury, CT 06817), 1971;7/21/1971
2) Lewis, R.J. Sax
s Dangerous Properties of Industrial Materials. 9th ed. Volumes 1-3. New York, NY: Van Nostrand Reinhold, 1996 :1741
3) EPASR: United States Environmental Protection Agency, Office of Pesticides and Toxic Substances (U.S. Environmental Protection Agency, 401 M St., SW, Washington, DC 20460) History unknown
4) Journal of the National Cancer Institute 1981; 67(1): 75-88  (link to PubMed
)

5) Texaco Inc;  Developmental Toxicity Study in Rats with 1, 3-Dioxolan-2-one (Ethylene Carbonate) (Final Report) 1991;05/17/1991
6) Toxicology and Applied Pharmacology 1989; 100(1): 24-31 (link to PubMed
)
7) MSDS-OHS (Material Safety Data Sheets-Occupational Health Service Inc) ; Ethylene carbonate OHS09345, Section 11 Toxicological Information

Abbreviation

ChemIDplus; ChemIDplus DB in TOXNET, CCRIS;Chemical Carcinogenesis Research Information System , DART; Developmental Toxicology Literature
   

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